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上手くやってきたはずなのに…なぜ…

 たぶん、23年度版ではその後物価統制に失敗したクウェートやアイルランドを抜いて、スイスに次いで日本の岸田政権は世界的に輝かしい物価統制に成功した国と扱われることになります。

 なんせ、日本ではガソリン価格がリットル188円になって、2年前128円の五割増しになったと騒いでいるところですが、 イギリスでは315円(2.08USドル)、香港635円(4.20USドル)になったりしていて、日本は実は非産油国にもかかわらず世界的に安くエネルギー代金が据え置かれている国なのです。

 この辺、コロナウイルスの騒動では、医療関係者や政策担当者、地方自治体もかなり頑張って感染症対策を進め日本はかなり成功してきたのに、なぜか反ワクチンや反マスク界隈から、対策に失敗してきたはずの海外を見習え、普通の生活に戻せと防御を下げる方向に政策誘導が進み、コロナウイルスだけでなくインフルエンザやRSウイルスまで蔓延させてしまい学級閉鎖が続発して子どもに健康被害が多発した例と似ています。野党も「トリガー条項ほか生活防衛面では岸田政権は上手くやっている」と評価することはまずありませんし、マスコミも「岸田は無能」という線で報じますから、上手くやって来たのに支持率が伸び悩むのも当然と言えます。

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 もっとも、そのような政策を実現できたのは、この価格統制のために空前の円安状況であるにもかかわらず累計6兆円を超える国富が突っ込まれ続けてきたからに他なりません。別の言い方をすれば、ガソリンを使うクルマ社会である地方経済は特に、すでに岸田文雄さんから『増税メガネ』どころかとんでもないプレゼントをもらい続けてきているわけですよ。

みんな“はけ口”を欲しがっている?

 さらに、岸田政権下になってから雇用が順調で、大卒の内定者の割合は00年代以降過去最高、高卒・専門学校卒もおそらくは最高の内定率を記録すると見られています。物価高に伴う賃上げが追いついていない問題はあり、また、人口減少による人手不足は顕著であるとはいえ、えり好みしなければちゃんと仕事はあるというのは大事なことです。労働人口が減少しているのに失業率が下がらない国はたくさんありますから。

24年春の大卒内定者伸び、リーマン・ショック後最大7.4%増 日経調査 - 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC12CE40S3A011C2000000/

 岸田さんは政権運営単体で見れば「まあまあ上手くやっている」はずなのですが、アピールが下手過ぎてみんな生活苦のはけ口を『増税メガネ』にぶん投げていることになります。そして、労働世帯の生活苦の実際は増税(税金)よりも社会保険料の負担増であり、年金世帯の生活苦は物価高に比べてもらえる年金が少なくて生活を維持するにはどうにかして働かないといけないところに問題があります。