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「くたばれ読売そーれいけいけ!」“阪神38年ぶり日本一”スクール水着、カッパコスプレ…道頓堀に鳴り響く六甲おろし「感傷の調べ」

「くたばれ読売そーれいけいけ!」“阪神38年ぶり日本一”スクール水着、カッパコスプレ…道頓堀に鳴り響く六甲おろし「感傷の調べ」

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ニュース, 社会, スポーツ

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 マスコミはその「画」を求めて戎橋でカメラを構える。老舗串カツ店「串かつだるま」の店頭に立つ「だるま大臣」人形は、万が一川に投げ込まれた場合に備えてオレンジの救命ベストを着用していた。

時代はカーネル・サンダースではない Ⓒ文藝春秋

「フリ」と「本気」が入り乱れ…

 首長の注意喚起に警察の警戒姿勢、マスコミの期待に繁華街の備え……なにが「フリ」でどこまでが「本気」なのか。その瞬間まで、答えはわからない。

 5日夕方。3連休最終日とあって、ただでさえ街には観光客や外国人が溢れている。御堂筋はズラリと並ぶ警察車両のパトランプと並木を彩るイルミネーションで輝く。戎橋では、欄干に並んだ警察官が拡声器を手に「左側通行です」「立ち止まらないでください」と口々に呼びかける。試合経過はイヤホンなどで随時伝え聞いているようだ。

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御堂筋には警察車両がずらりとならび、イルミネーションとともに通りを彩った Ⓒ文藝春秋

 午後7時半すぎ。ノイジーの3ランで阪神先制。思い思いの時間を過ごしていた阪神ファンが次第に道頓堀に集まり始める。心斎橋付近でテレビ中継を流している飲食店の周りには人垣ができていた。

街頭テレビに群がる人たち Ⓒ文藝春秋

 午後9時すぎ。阪神6点リードで8回裏終了。にわかに、戎橋の欄干に並んだ警察官たちの動きが慌ただしくなる。

「――規制開始」

 戎橋の下の、水辺の遊歩道への立ち入りが制限され始めた。どうやら段階的に規制を強化するという。だがすでに、戎橋の下も上も人でいっぱいだ。

スクール水着姿の不審人物あらわる

「あいつ絶対飛び込むやろ。あんな恰好してんねんから」

スク水姿の怪しい人物 Ⓒ文藝春秋

 警察官が呆れた声を出す。視線の先には、スクール水着を身にまとった不審人物が一人。スマホのカメラを自分に向けている。動画配信者のようだ。スク水に男たちの視線が一気に集まると、不審人物はいったん人込みに消えた。

 9回裏。スマホで試合中継を見ている人たちの周りからは1ストライクごとに歓声が上がる。

「今試合どうなってんの?」
「分からん」
「もう試合終わった? 誰か飛び込んだん?」

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