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現役高校生にとっては最も過酷な環境になってしまった
「キラー問題がないのならば」と修能に再挑戦する大学生、日本でいうところの仮面浪人生が大きく増えるだろうという見方もある。実際、9月の模擬評価以降、浪人生などの現役高校生以外の受験志願者が大幅に増えた。名門大学の在学生たちがさらにハイレベルの大学へ再受験を試みる、“修能ラッシュ”が起きているのだ。結局、今年の入試は現役高校生にとって最も過酷な環境になってしまった。
修能の当日、韓国中で毎年のように珍事が起こり、その様子がニュースに取り上げられる。交通渋滞で受験生が時間通りに試験場に到着できないという連絡を受けた警察は、サイレンを鳴らしながらパトカーやバイクで彼らを学校に運ぶ。空港では英語のリスニング試験の時間中に飛行機の離着陸が禁止される。親たちは早朝からお寺や教会などで、子どもが修能試験を受けている間ずっと、神に心を込めて祈る。
これは、格差が激しい韓国社会では「教育こそ貧困を抜け出す唯一の手段」と見なされているからだ。
今年の韓国の修能試験日は11月16日。ユン大統領のキラー問題排除は「親の所得で子どもたちの進路が決まるのは不公平だ」という善良な意図から出発した。だが、ユン大統領の意図通り、「公正な入試」が実現できるかは誰も断言できなくなった。