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 しかも親は、「病気であってほしくない」という願望が無意識に働くため、より正確な分類はできなくなるのが普通です。相談で心療内科や精神科へ行くことを勧めると、「この状態はそんなにおかしいんですか?」とびっくりされることがよくあります。時には「いや、病気じゃないと思うんですよ!」と必死な表情でおっしゃる方もいます。 

「我が子のことは親である自分が一番知っている」と思う気持ちは分からなくはないのですが、「引きこもりのことは知らない、引きこもり支援では素人」というのは事実です。支援者の視点だとどうなのか、という情報は得る方がいいでしょう。 

親は親。支援者にはなれない 

 親だけで解決が難しい理由のもうひとつが、親は子どもの支援はできますが、根本的に支援者とは違うということです。 

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 もちろん親だからこそできる、親にしかできないことはたくさんあります。引きこもっている子どもの生活の面倒を見、最後の最後まで子どもの味方でいる、一番の存在は親です。だからこそ子どもの側も、親にはどうしても甘えてしまいます。会話を拒否しておきながら作ってもらったご飯をしっかり食べるのは、甘えがあるからです。 

 これが支援者、他人相手だとそうはいきません。例えば食事を届けてもらえば、「少しは話をしないと失礼になるのでは」という気持ちが働き、会話に応じてくれることがあります。親の「バイトしてみようよ」という語りかけは無視できても、他人に言われたらある程度理由をつけて断らないと、という気持ちになります。それでも無視をしてしまったら何となく罪悪感が残り、次回は違う反応をするかも知れません。