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 親とはこれまで培ってきた関係性があります。いい関係も悪い関係もありますが、その時間の積み重ねが、支援にはマイナスに働くことがあります。例えば子どもがこれまで経験のないバイトに挑戦しようとした時に、親は過去の失敗した姿が思い浮かんで、「そんな仕事は向かないんじゃないの」と言ってしまう。子どもも「親は自分のことを知っているんだから、そうなんだろう」と思って応募をやめてしまう。 

 これが他人である支援者なら、あまりに難しい仕事でもなければ、「じゃあやってみようか」と言えるでしょう。支援経験から「この人なら意外とできるかも」と思う場合もあるでしょうし、チャレンジが失敗するのを想定して「どんな風に次につながるいい体験にするか」を考える場合もあるでしょう。何より実際にやってみないと分からないことも多いですし、親が気付いていなかった本人の意外な適性が見えるかも知れません。 

支援者だからできること

 支援者の特徴は、他人だからこその距離感を持てること、まっさらな関係なので過去の経験に縛られないこと、支援経験から来る客観的な視点などです。親はこれらを手に入れることはできません。家庭内で解決しようとするのをやめ、支援者の役割は支援者に任せれば、親は親の役割に専念できます。それは毎日優しく挨拶をして話しかけるだけでなく、時には厳しい言葉を投げかける場合もあります。それでも、親にしか言えない言葉というものが存在します。 

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 親は支援者になろうとするより、きちんと親であることを目指す方が、解決につながるのではないでしょうか。