「財産だと思っていた友人のお金を騙し取られて…」
そして現在――。法廷で20カ月ぶりの再会を果たした丹羽に、石井は何度も媚びるような視線を投げかけていた。かつての内妻を何度も直視した丹羽はこう証言する。
「当時は愛していました。今は正直、恨んでいる気持ちはなくはないですが、恨んでも意味ないですし……。この先、交際の継続は不可能です」
逮捕後の取り調べで丹羽は、石井のついてきた嘘が「本名」と「実母の存在」だけではなかったことを知る。年齢や経歴、かつての同居人たちの素性など、あらゆる欺瞞のメッキが剥がれ落ちた。
「今までの10年間、交際期間に言ってきた言葉は、全て嘘だったということ。気持ちが変わった一番の理由は、財産だと思っていた私の友人から、お金を騙し取っていた、巻き上げていたことです。また、私の知らないところで、私の父親からも1000万円以上のお金を取っていました。幻滅したのは、お金に関することが大きかったです」(丹羽)
身近な人を裏切り騙していた点では、丹羽も石井と同類
丹羽は「大親友に迷惑をかけてしまった」と言葉を詰まらせ、落涙した。だが、法廷では明かされていない事実がある。歩夢くんの亡骸を床下に埋めた2022年1月19日、丹羽は石井を伴って、その大親友に金を無心していたのだ。
当事者である前出のAさんが語る。
「丹羽は『職場でトラブルになった同僚を殴って、病院送りにしてしまった。示談で済ませたいけど、お金が足りない』と。石井と一緒にわざわざ僕の住む街までやってきて、泣きながら頼んできたんです。でも、裁判で丹羽が2021年8月から無職だったことを知って、職場のトラブルというのは嘘だと分かり、唖然としました。金を借りに来た時、『もし逮捕されたら、出てくるまで待っててほしい』と言っていましたが、とてもそんな気にはなれません」
身近で大切な存在を裏切り、騙していた点では、丹羽も石井と同類だった。
11月13日からは、いよいよ石井の被告人質問が始まっている。