天才、カリスマ、唯一無二。なんとなくの雰囲気しか掴めない言葉だが、俳優・窪塚洋介の横に添えてみると、その輪郭がハッキリと浮かんでくる。

窪塚洋介 ©文藝春秋

ドラマ『金田一少年の事件簿』でデビュー

 窪塚といえばもはや説明するまでもないが、木村拓哉や反町隆史、竹野内豊や長瀬智也らと並び、平成のドラマ界を牽引した俳優の1人。ドラマ『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系/1995年)でデビューを飾り、当時は「ヨースケ」と名乗っていた。

『金田一』はほぼセリフが無かったものの、反町隆史主演『GTO』(カンテレ・フジテレビ系/1998年)では学園一の秀才ながら教師イジメの主犯格グループだった菊池善人、『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』(TBS系/2001年)では石田ゆり子演じる教師を愛するあまり留年を繰り返す高校生・佐伯哲也を演じ、その抜群の存在感を世に知らしめていく。

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「ダサいことすんなって言ってんの」

 さらに窪塚の人気を確立したのが『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系/2000年)で演じたカラーギャング「Gボーイズ」を束ねるリーダー・“キング”こと安藤タカシ役である。一時期は再放送が不可能とも囁かれていた伝説のドラマだが、同作の主人公・マコトを演じた長瀬智也最後の主演作『俺の家の話』(TBS系/2021年)の放送を機に、各種動画配信サービスの視聴が解禁され、再びその人気に火がついた。

 放送当時は生まれていなかっただろうZ世代からの支持も熱く、TikTokではキングの名言「悪いことすんなって言ってんじゃないの。ダサいことすんなって言ってんの」が数多くの動画で引用されている。

2005年、当時26歳の窪塚洋介 ©AFLO

“平成”という時代の香りと共に醸成されたギラギラオーラ

 窪塚のような俳優は、後にも先にも現れないだろうと思っていた。窪塚だけではなく、木村や反町、竹野内や長瀬に似た俳優も。タバコをふかしながら長い髪をかきあげ、ギラギラしたオーラを放つ彼らは、今よりずっと活気があって、華やかだった“平成”という時代の空気に満ちていて、時代の香りと共に醸成されたものだからだ。

 たとえば田中圭や坂口健太郎、最近では赤楚衛二や松下洸平など、現在第一線で活躍する俳優たちの顔を浮かべてみると、窪塚たちと同じくらいの背丈だったとしても、ワイルドというよりは“マイルド”なイメージになるのではないだろうか。

 しかし、この令和の時代に、窪塚のDNAを感じる俳優が彗星のごとく現れた。窪塚の息子・窪塚愛流(以下、愛流)である。