メキシコの麻薬カルテルの取材、ルーマニアのマンホールタウン、そして世界最大級と言われるケニアのスラム街・キベラスラム…様々な危険地帯を取材してきた丸山ゴンザレスには今、怖さと共に違和感を感じる“国”があるという。(全2回の後編/前編を読む)
「取材で人の死や死体を見ても特に何とも思わないです」
――世界各国に足を運びながら、時には命のリスクを冒すような危険地帯と言われる場所にも頻繁に行かれるのはなぜでしょうか。
丸山 子どもの頃、秘密基地や高架下、工事現場に入っていくのが好きで、自分が知らない場所に行くことにドキドキしましたが、今もその延長です。興味のあることしかやらないし、そもそも仕事っていう感覚もないんですよ。よくなんでそんなことできるの? って聞かれますけど、特にリスクも考えてないし、やりたいことをやっていたらお金になるくらい。どうしてこれが仕事として成立しているのかわからないですけど。
――取材を通して気持ちが保てなかったことはありますか?
丸山 たとえばメキシコの麻薬戦争の取材のあとは少しボーっとしましたけど、それは取材が一区切りついたと自覚しただけのこと。取材で人の死や死体を見ても正直特になんとも思わないし、フィギュアを見るくらいの感覚です。
――丸山さんは以前にも増してメディアやSNSでの露出が増えていますが、丸山さんに対する周りからの反応が変わってきた感じはありますか?
丸山 僕は街中で話しかけられることが苦手なんです。レポートもするし文章も書くしYouTubeもやるけどエンターテイナーではないので、声掛けられたときに対応のしようがないんですよ。「ゴンザレスさんですか?」って聞かれて、「はい」って言う以上のことができない。何より、たまたま街で見かけて声掛けてきた人に無料で過剰なサービスをするのは、僕のオンラインサロンだったり、イベント、書籍に対してお支払して下さっている方々に申し訳がたたないと思っていて。
だから声掛けて頂いて「はい」って答えますけど、それ以上のことはしていなくて。後からこんな人だと思わなかった的なことをSNSで書かれたりしますけど、別に俺、そんな人だったってアピールした覚えないけど、っていつも思っているんです(笑)。SNSを通してそういう“認識のズレ”みたいなのはすごく可視化されるなと思いますね。