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二刀流を目指すきっかけは将棋を通じて

――二刀流を目指すきっかけは、どのようなものでしたか。

井出 Mリーグができてからはぽつぽつとですが、「麻雀プロにならないの?」と漠然とはいえ、言われたことはありました。鈴木先生(大介九段)がMリーグに入ったころ、日本プロ麻雀協会の先輩である堀慎吾さんと将棋を通じての交流が生まれ、そこでそういう話をしたらとんとん拍子に進みました。

――麻雀プロになることの難しさはどのくらいなのでしょうか。

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井出 どのくらいかというのは難しいですが、普段から打っている人がプロを目指すための勉強をすると、ほぼなれると思います。試験はまず筆記で、実戦ではまず出てこないような形の点数計算や、多面待ちの判断などです。あとは「自摸(ツモ)」などの麻雀用語を漢字で書くことでしょうか。

――実技試験はないのですか?

井出 ありますが、いわゆる「何切る」の実戦などではなく、打ち方の所作ですね。競技用の手順に沿ってリーチ、ツモなどと言えるかなどです。

――麻雀プロになってから、生活は変わりましたか。

井出 ほとんど変わっていませんね。麻雀の対局は土曜日につくので、土曜日の用事が増えたくらいでしょうか。対局のシステムとしては将棋の順位戦に似ています。

 

麻雀プロとして強くなる方法は

――麻雀プロとして、どのようにしたら強くなれるかという方法を教えてください。

井出 私はプロになる前からですが、プロの実戦の検討配信を見ることと、天鳳(麻雀のオンライン対戦サイト)で打って、その感想戦をすることですね。最近はX(旧ツイッター)で強豪の方がいろいろと配信しているので、それを見ています。その配信では技術論を語っていることもあれば、実戦的な何切る問題を理由を含めて説明していることもあります。さらにその配信に関して強豪同士で意見交換していることもありますね。

 天鳳は頂点に「天鳳位」があって、以下は十段~初段、1級~新人です。今の自分は九段ですが、これまで天鳳位に到達された方にはMリーガーへ転身した渡辺太さんがいますので、天鳳位に届けばMリーガーの中での上位になり得ると考えています。

――将棋は強くなるために棋譜並べを行うことがありますが、麻雀の技術を深めるために他者の牌譜をみることはありますか。

井出 それをしている人もいるかもしれませんが、私は紙の牌譜はほとんど見たことがありませんね。

――では、将棋の棋譜並べはどうですか。

井出 今は棋譜をAIで並べて、その結果を理解するようにしています。昔は棋譜並べもしていましたが、定跡書を読む方が多かったです。藤井猛先生の本は高度な内容なので、一通り読んでいました。奨励会級位者の頃は本を読むだけでも強くなりましたが、初段になると苦労しました。さすがに奨励会初段を対象にする本はありませんからね。そこからは座学で伸ばすのは難しいので、実戦オンリーで三段になったという感じです。