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 長野県の阿部守一知事は、リニア中央新幹線長野県駅がある南信地区について、「産業振興と人材育成の拠点」として産学官共同で開発拠点「S-Bird」を整備した。ここは信州大学航空機システム共同研究講座、長野県工業技術総合センター航空機産業支援サテライトなどが設置されており、航空機システムについて国内唯一の環境試験設備を持つ。伊那谷には太陽光発電、水力発電のクリーンエネルギーとCO2を吸収する森林が揃っており、カーボンニュートラルの取り組みも進む。

長野県の南北軸イメージ

 長野県駅からの南北軸は、南側に整備中の「三遠南信自動車道」、北側に中央自動車道がある。これで静岡県浜松市から新潟県糸魚川市、上越市までを結ぶ。太平洋側と日本海側を結び、リニア中央新幹線、北陸新幹線、高規格道路を組み合わせた「本州中央部広域交流圏」を構想し、あらたな人流、物流を創出する。東京の過度な集中を是正し、リニア中央新幹線開業によって、人口や諸機能を国土全体に進める契機としたい。

岐阜は産業よりも観光拠点としての期待が強め?

 岐阜県の古田肇知事は、岐阜県内のリニア中央新幹線工事区間について、9割が着手していると示した。その先の周辺の整備について提案を行っている段階に入っており、観光、交流のハブとして機能するよう二次交通の充実を目指すとした。将来はリニア中央新幹線の時短効果を損なわないように、MaaSによるシームレスな乗り換えを実現する。また、自動運転やエアタクシーなど将来の交通技術にも対応した駅周辺整備を目ざす。

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岐阜県の南北軸イメージ

 そしてリニア中央新幹線岐阜県駅を中心とした「東濃クロスエリア」も構想している。第1段階として物流、企業の本社機能、サテライトオフィスなどの集積を図りたい考えだ。第2段階として、この集積を全県、及び隣県に広げるため、東西南北軸を太く長く整備していく。そこで重要な軸が「濃飛横断自動車道」だ。岐阜県駅のある中津川市は中央自動車道と接続する。ここから「濃飛横断自動車道」は郡上八幡ICを結び、東海北陸自動車道に接続する。この道路ネットワークは岐阜県北部の白川郷、高山に達するほか、その先の福井県、石川県、富山県、長野県、滋賀県まで網羅する。

 ただし、他県のような具体的な産業集積構想はなく、観光拠点として活用されそうなイメージのようだ。知事は触れなかったけれども、岐阜県駅は名古屋圏の衛星都市として発展の可能性を秘めている。岐阜市の西側に岐阜羽島駅、東側にリニア中央新幹線岐阜県駅。この軸も重要だろう。