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東京は「通り」で、大阪は送り仮名のない「通」… “道”の呼び名の“不思議な歴史”

『地名散歩 地図に隠された歴史をたどる』より #1

2023/12/09

genre : ライフ, 社会, 歴史

note

 広い幅の大通りは、その名も「大通」を名乗るものもある。最も有名な大通りといえば札幌の中心部を東西に貫く大通だろうか。広い幅の歩道つき3車線道路が2本並行し、これに挟まれた緑地帯を含めた幅は105メートル、長さは約1.7キロメートルに及ぶ。明治以来の公園で、この通りを起点として東西の通りは北へ行くに従って北1条通、北2条通、南へは南1条通、南2条通という具合に命名されている(算用数字を用いることが多い)。南北の通りは創成川を起点に東西に分けられており、西1丁目通、西2丁目通……。南北と東西の通り名を組み合わせて「北2条西7丁目」のような住所になるが、そのエリアが住居表示法を墨守して街区(ブロック)単位となっているため、たとえば上記の住所は北2条通と北3条通、西7丁目通と西8丁目通に囲まれたエリアなので、北3条通と西8丁目通に面した部分の住所はズレが生じて慣れないと戸惑う。

現在の京都では幅員に南北ともに「通」でほぼ統一

 大通りといえば、空襲で焦土と化した名古屋の中心部に戦後、2本の巨大な通りが出現した。テレビ塔のある南北の通りが久屋大通で、札幌の大通と同様にふたつの通りに挟まれた緑地帯は久屋大通公園である。平均幅員は112メートルと札幌より少し広い。これと松坂屋(矢場町)の南側で直交するのが東西の若宮大通。こちらも中央が公園だが、今では名古屋高速道路2号東山線の高架に覆われている。

©AFLO

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 同じ若宮でも鎌倉の目抜き通りは若宮大路で、歴史ははるかに古い。鶴岡八幡宮から由比ヶ浜までまっすぐ続く道で、内裏から南へまっすぐ続く京都の朱雀大路になぞらえて、源頼朝の時代に造営された。全長は1.8キロメートルで、JR鎌倉駅に近い二ノ鳥居から北側は壇葛と呼ばれる1段高い歩道が神社まで続いている。