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《吉原刺殺事件》「母は間違っているとは思わない。自分がダメなだけでした」今井被告が受けた、懲役16年の判決と裁判官の“厳しい言葉”

《吉原刺殺事件》「母は間違っているとは思わない。自分がダメなだけでした」今井被告が受けた、懲役16年の判決と裁判官の“厳しい言葉”

2023/11/30

genre : ニュース, 社会

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 今年の5月5日、東京都台東区の風俗街・吉原のソープランド店で、女性従業員Aさんを、客として訪れた今井裕被告が折りたたみ式ナイフで殺害した。事件の判決公判が11月28日、東京地裁(野村賢裁判長)で行われ、今井裕被告に対して懲役16年(求刑18年)が言い渡された。

 判決などによると、2022年4月ごろから、今井被告は、同店で働くAさんを予約、指名するなど通うようになったという。

亡くなったAさん

 110分のサービスで6万7500円、映画を一緒に見にいくと13万円という高額の料金を支払うために、今井被告は借金にも手を出していた。しかし徐々に経済的に苦しくなり、予約してはキャンセルを繰り返すように。そのため、Aさんの予約ができなくなった。

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「Aさんを殺害し、自殺しようという選択をした」

 その頃から今井被告は自殺を考えるようになった。そして「Aさんにもう一度会いたい」と考え、5月5日に偽名を使って予約を入れ、店を訪れる時には帽子とマスクで変装までしている。

事件翌日の店舗そばの路地の様子

 今井被告はAさんに関係修復を懇願したが、「何回も予約をキャンセルしているのに、よくこれたね」と言われ、土下座をさせられたという。

 そして、今井被告は「Aさんを殺害し、自殺しようという選択をした」。そして持ってきた折りたたみ式ナイフでAさんを3回突き刺して死亡させた。

 裁判では事実関係や結果の重大性について争いはなく、量刑だけが争点だった。

 弁護側は「懲役12年」を主張していたが、検察側は「懲役18年」を求刑していた。

 検察側は論告で、Aさんに落ち度がない点や、指名を拒否されたことで偽名を使って予約し、変装までして店にやってきたこと、今井被告の自殺願望とAさんを道連れにすることに全く関係がないこと、「殺してやる」という殺意があったことなどを踏まえて、懲役18年を求めていた。

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