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「メンチが全然弱い」「もうやる前から負けてる」

 1日目、わたしはファッションショーに出たんですけど、アフロみたいな頭にされて(笑)。飯伏さんがめっちゃ笑ってて、「覚えとけよ」みたいな。坂口憲二さんも出ていて、母はファンだったので、ご機嫌で「かっこいいわあ!」と言っていて、よかった、よかったと思っていたら、「今日だけだったらいいのにね」と言われて、「ハア……」となりました。

 2日目、ついにプロレスデビュー。「福田洋&世Ⅳ虎&志田光vs赤井沙希&マサ高梨&チェリー」というカードです。アイドルキラーの世Ⅳ虎に最初から狙われて、ボコボコにやられたけど、わたしもビッグブーツを連発したりして、勝利をアシストできました。最後、世Ⅳ虎にメンチを切られたときは、「負けられへん!」と思って、メンチを切り返しました。途中、口から流血したけど、隠していました。

 母がどう思ったかすごく不安だったんですけど、試合後に会ったら、開口一番、「メンチが全然弱い」と、まさかのダメ出し(笑)。「あんなメンチじゃ、もうやる前から負けてる」と言われました。あと、「あんたは背が高いし、手足が無駄に長いから、腰が引けてる。部屋にロープを張って、ウィービング(ボクシング用語で、相手のパンチを受けないように体を左右に振る動作)の練習をしろ」とも言われて。少しは許してくれたのかなと、安堵しました。

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©文藝春秋

プロレスに対する固定観念をDDTが壊してくれた

 背が高いので、それまでも「プロレスデビューしないか」と言われたことはあったんです。けど、興味ないし、やりたくなかったので断っていました。でもなぜDDTだったらやってみたいなと思ったかと言うと、DDTの可能性がすごいというのと、自分がいままで培ってきたものや経験してきたものが、DDTだったら力になれるんじゃないかと思ったんです。あと、本当にエンタメの力はすごくて、わたしのプロレスに対する固定観念をDDTが壊してくれたので、「これだったら世間にもっと広まる可能性があるな」と思ったんですよね。