2023年4月に都内のシニアハウスに入りました。自分の死に場所が見つかって、今はホッとしています。

 昔、友だちと中伊豆に「友だち村」という名のシニアハウスを作りました。60代でだったので入居せずじまい。若い頃の老人ホームのイメージは姥捨て山みたいなものでしたが、今はみんなが老人ホームを良いものにしようと必死になっていて、状況はどんどん良くなっているよね。老いた親たちは事あるごとに「子どもたちに迷惑かけたくない」と言っているんでしょう。だったら、さっさと老人ホームに入ってしまえばいいのです。

入居の決め手は…

 私は45歳のときに軽井沢に一軒家を建ててから、都心と軽井沢の2拠点生活を続けてきました。軽井沢は、疎開先の母の実家があった新潟や留学先のイギリスに似た雰囲気があって、とても気に入っています。1990年代からテレビのバラエティ番組に呼ばれて忙しくなりましたが、週末には必ず軽井沢に帰り、ボロボロになった心を癒していました。

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 でも、年をとって軽井沢で動けなくなったらどうしようとは思っていました。福祉の面が心配でしたし、老人ホームも多くはありません。私が親しくしている90歳のおばあさんも、よその市の施設に行っています。

 そしたら、たまたま22年の秋、一緒に仕事をしたピアニストから、90歳のお弟子さんが東京のシニアハウスから通っているという話を聞きました。その人はシニアハウスからゴルフにも行ったりしているそうです。なんと偶然とはいえ、そこはお世話になった津田塾大学の学長が99歳で亡くなるまで暮らした場所で、私も何度かお見舞いに行ったことがありました。そのとき、「そうか、ここに入れば安心して死ねるんだ」と思ったのです。それにちょっと前、女優の有馬稲子さんが老人ホームから仕事に行くと読んで、「それいいな」と思っていました。