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 2023年7月に29歳になった大谷は自らのピークについてこう話しています。「自分の計算の中ではもうピークは始まっていると思っているので、これがいつまで続くのかな、いずれは終わってしまうんだよなという気持ちもあります」

 大谷は向上心が強いだけに、上がっている時はともかく、下がってきた時に一気に気持ちが落ちてこないか、という不安があるようです。年齢を重ねることで野球の技術は上がる一方でフィジカル的には下がってきます。その時、培ってきた技術で対応するか、フィジカルをもっと強くするか。大谷が若くしてメジャーに挑戦したのは、ピークをメジャーで迎えたいと考えていたからですが、全盛期の大谷がこの先どれほどの成績を残し、年齢の壁をどう乗り越えるのかも大いに興味のあるところです。 

©文藝春秋

野球を長く続けるため、毎日基礎体力をつける

 一回しかない現役ですしね。

 50代まではやりたいですね

 

(「道ひらく、海わたる」P312)

 プロ野球選手というと、長嶋茂雄が38歳、王貞治が40歳で引退したように、かつては40歳を過ぎても現役を続ける人はほとんどいませんでしたが、最近では山本昌が50歳まで現役を続けたように、40代になっても現役としてバリバリ活躍する人もいます。もちろん若かった頃ほどの成績は残せないとしても、なかには山﨑武司のように39歳でホームラン王に輝き、40代になっても2桁ホームランを打つ選手も現れています。 

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 大谷翔平も50代まで野球をやりたいと話しています。

「野球はできる限り長くやりたいし、できる限りの成績を残したいし、そのために毎日毎日、今のうちから基礎体力をつけて、なるべくそれが落ちないようにやっていきたい。現役選手なら誰でも普通にそう考えると思いますが、僕もそういう選手でありたいと思っています」

 イチローも50代までの現役を目標にしていましたが、「フライボール革命」などの影響もあり、45歳で引退をしています。大谷のやっている投打二刀流は体力的にもかなりきついはずで、はたして何歳まで今のスタイルを通せるかはわかりませんが、野球にすべてを捧げている大谷であれば、年齢という面でも不可能を可能にしてくれるかもしれません。