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そのうえでモーリー氏は、自然乾燥によってジーンズが非常に硬くなってしまった場合、低温に設定した乾燥機に10分間ほど放り込んで柔らかくする手法を披露している。高温では熱で繊維が縮んでしまうため、あくまで低温・短時間がポイントだ。

洗濯で縮んでしまったら…

洗濯後にうっかり縮んでしまっても、まだ救いの手はある。ハウスクリーニング会社「FreshSpaceCleaning.com」のウィル・コッターCOOが米FOXニュースに語ったところによると、ヘアコンディショナーを入れたぬるま湯に浸すと繊維がほぐれやすい。

もっとも、こうしたアドバイスは一般的なジーンズに関するものだ。未洗濯の風合いを楽しむ「生デニム」の場合、とくに繊細であることから、洗濯機は御法度だ。メンズウェア「レフトフィールドNYC」の創業者であるクリスチャン・マッキャン氏は、ワイヤーカッターの取材に応じ、生デニムは少なくとも30回は着用した後、中性洗剤を使い、裏返しのまま手洗いすることを勧めている。

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「洗う・洗わない論争」はジーンズの奥深さを示している

では、洗濯の頻度という面では、正解はあるのだろうか。CNBCはアメリカでは毎回の着用ごとに洗う家庭が多いと述べているが、専門家の多くは、これは洗いすぎだと指摘する。FreshSpaceCleaning.comのウィル・コッターCOOはFOXニュースに対し、見た目がきれいでニオイもなければ、何度も繰り返しはくよう提言している。

デニムは想像以上に繊細だ。洗濯回数を抑える意味で、数十回ははいてから洗うよう指南する専門家もいる。オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー紙によると、リーバイスのデザイン・ディレクターであるポール・オニール氏は、ジーンズは「30~50回着用する」たびに常温の水で洗濯するよう勧めている。

もっとも、万人に当てはまるルールは存在しない。デニムに特化した豪ニュースレター「ジーン・オン・ジーンズ」を主催するスタイリストのジーン・ハーマン氏は、オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー紙に対し、「私はジーンズを洗います。毎回ではありませんが、小さな子供がいると、食べ物のシミや遊び場の汚れで洗濯が必要になることがよくあります」と述べている。神経質に一般論を追いかける必要はなく、最終的には自分が快適に感じられる頻度で洗濯することが肝要だ。

着用したままシャワーで洗濯したり、外気にさらすだけで“洗濯”としたり、50回はくまで洗わなかったりと、ジーンズとの向き合い方は人それぞれだ。手入れの方法は、カジュアルながら奥深いジーンズの世界を象徴しているのかもしれない。

青葉 やまと(あおば・やまと)
フリーライター・翻訳者
1982年生まれ。関西学院大学を卒業後、都内IT企業でエンジニアとして活動。6年間の業界経験ののち、2010年から文筆業に転身。技術知識を生かした技術翻訳ほか、IT・国際情勢などニュース記事の執筆を手がける。ウェブサイト『ニューズウィーク日本版』などで執筆中。