おばあちゃん 学ぶからこそ、上に何かが築ける感じがするのでしょうかね。周囲にも好奇心が強い人が多いんです。元々書家で、今95歳で編み物を習っている知人なんかは、私のことを「まだ若い」と言って、杖ついて舞台を見に来るんですから。
――先輩に言われたら、何も言えませんね。
おばあちゃん 「私の人生、なんでこうなったんだろう」と嘆くのを聞かされたことがあるけど。だって、どうしてあげることもできないもの。「頑張って」とも言いません。見た目が衰えるのも、できなくなるのも、逆らえないことなんです。シミやほうれい線だって、私の勲章。
だけど、じゃあ施設の方や周囲の皆さんの手をお借りして生活するという時に、やってもらって当たり前じゃなくて、やってもらってありがとうという気持ちは忘れたくないですよね。
これからやってみたい仕事
――これからやってみたいお仕事はありますか。
おばあちゃん いつまでも元気で吉本の舞台に立ちたいのと、演技の世界でセリフの少ないおばあちゃん役か何か……地でやれるような役をしてみたいですね。
あとは、何か世の中のためにできることがないかなと思っています。老人ホームとか、オレオレ詐欺とか、年齢的なものが問題になるところでお役に立てることができないかなということを考えています。
ただ、意外に自分のことって自分ではわかってないんですよね。だから何でもやってみたいです。もう先がないから、今ますます一生懸命頑張っているんですよ。今日より明日が楽しければそれでいいと思って生きているけど、朝起きて目が覚めないかもしれないじゃない? 今はまだ朝起きて、主人に「生きてる?」と聞くと「死んでるよ」って答えるから、「あ、大丈夫だね」なんていうやり取りを繰り返していますけど(笑)。
「終活」はもう終わった
――「終活」について、何か意識していることはありますか?
おばあちゃん もう終わりましたよ! 定年過ぎた頃に住んでいたマンションは坂の上にあって、今後生活が大変そうだなと思って田舎の一戸建てに越したんですけど、不便ですぐまたマンションに“出戻り”。ただし、今回の基準は“狭さ”でした。狭いと、必然的に家に何も置かないようになるでしょ。
――狭いところに住むために、いろんなものを処分して?
おばあちゃん そうそう、衣類から何からとにかく処分して、残っているのは主人と私だけ(笑)。ところが私が芸人をやり始めたもんだから、どうしても舞台用の衣装など、ものが増えてしまっているんですけど。
――神保町よしもとの劇場に立てるのは芸歴9年まで。ということは、おばあちゃんはあと4年で卒業になりますが、4年後は80歳ですね。
おばあちゃん そうですね、節目ですね。その時は何をやってんでしょうかねえ。でも絶対、また何か新しいことをやってるんじゃないですか。