かつてお茶の間をわかせた人気番組『笑っていいとも!』(1982〜2014)。過去には不審者が突如乱入し、司会のタモリさんに近づいたことも……。1983年の「いいとも!素人乱入事件」でタモリがとった驚きの対応とは? ライターの戸部田誠(てれびのスキマ)氏の書籍『タモリ学』(イースト・プレス)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

番組に不審者が乱入したとき、司会のタモリさんはどう対応したのか? ©文藝春秋

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明日「来れない」かな?

 1982年10月から始まった『笑っていいとも!』、番組開始時からの名物コーナーといえば「テレフォンショッキング」だ。これは当初「タモリが大ファンの伊藤つかさまで、芸能界の交友関係をつなげてたどり着けるか」という企画としてスタートした。

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2014年3月に放送終了した伝説のお昼の番組『笑っていいとも!』(画像:フジテレビHPより)

「友達の友達はみな友達だ、世界に広げよう友達の輪、わっ!」のフレーズでつなげていくこと3年弱、戸川京子からの紹介で1985年7月8日に伊藤つかさが出演、タモリの念願が叶い目的は達成された。

 しかし以後もこの人気コーナーは続行された。その間いくつかのマイナーチェンジがあり、2012年4月のリニューアルではついに「お友達紹介」のシステムが廃止されたが、それまでは『いいとも』におけるひとつの象徴のように存在していた。

 そんな「お友達紹介」が、思わぬハプニングを呼んだことがある。1984年4月23日に出演した泰葉は、しばたはつみに電話をしたつもりが、間違ってある会社にかけてしまった。

 電話を受け困惑する一般人の女性に、タモリは薄笑いを浮かべながら「わたくし、タモリと申します。『笑っていいとも!』をやってたんで……」と告げると、その女性は「え、ホントに!? ちょっと待ってくださいます?」と慌てふためいた。会場が爆笑する中、タモリは「明日来てくれるかな?」と即興で悪ノリ。戸惑いながら女性は「いいとも!」と答えるのだった。

 そして翌日「間違い電話の方、どうぞお入りくださいませ!」とタモリが呼び込むと、本当にその女性が登場(「テレフォンショッキング」本コーナーの前に枠が設けられていた)。さらに翌日も一般人へのお友達紹介リレーとなり、それが3日間続くことになった。