かつてタモリさんが、「これ(を放送するの)はヤバいって!」と珍しくうろたえるほど過激だった「結婚式大乱闘事件」とはいったい?

 ライターの戸部田誠(てれびのスキマ)氏の書籍『タモリ学』(イースト・プレス)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

とにかく「予定調和」を許さない……そんなタモリさんが結婚式で見せた「蛮行」とは? ©文藝春秋

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結婚式、クソ喰らえでございます

 ダウンタウンが司会を務める『爆笑! 大日本アカン警察』をベースにしたコーナーが、『27時間テレビ』にあった。

 タモリとダウンタウンが14年ぶりに共演することで大きな話題を呼んでいたが、そのスペシャルなムードは「タモリが結婚式で大乱闘事件」という暴露VTRで吹っ飛んだ。

 タモリが「これ(を放送するの)はヤバいって!」と珍しくうろたえるほどの「事件」。それは2005年、『いいとも』金曜日ディレクター(当時)の出口敬生と、フジテレビアナウンサー梅津弥英子の、結婚披露宴で起こっていた。

 披露宴などの“セレモニー”嫌いを普段から公言しているタモリだが、新郎新婦両者ともに仕事で関係が深いこともあって出席していた。タモリは船長が着用するような白いユニフォームで列席。元来船好きのタモリだが、乾杯の挨拶ではその意図を、「船長でございます。ちょっとふたりの船出という意味もございます」と述べた。すでにほろ酔いであろうタモリの挨拶は、しかし淡々とした口調で続いていく。

「新郎新婦ともに同じ会社ということで、先ほどから流れるような司会、仲間内だけの笑いによる祝辞と、非常にスムーズな中にも、馴れあったいやな雰囲気の結婚式を堪能させていただいております。結婚式、クソ喰らえでございます」

 結婚披露宴というのは「偽善」の塊である。しかも、タモリが大嫌いな「予定調和」がはびこっている。さらに「内輪受け」が安易に許されてしまう空間だ。タモリは居心地の悪さを感じていた。

 式は進行し、新郎側の友人代表の祝辞。アメフト部だという彼に向かって、タモリは突如タックルを仕掛けていった。驚いた周囲はもちろん制止にかかる。会場は思わぬハプニングに爆笑、そして喝采。しかしそれでもなお襲いかかろうとするタモリは、最終的に羽交い締めにされ席に戻された。タモリは振り返って言った。