「国が保護をして、国民の宝として有形文化財にしなければ、と痛切に感じております」
タモリさんが学生時代からゾッコンの「日本を代表する名女優」の正体とは? ライターの戸部田誠(てれびのスキマ)氏の書籍『タモリ学』(イースト・プレス)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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タモリが愛した「国民的美女」の正体
吉永小百合は、タモリにとっての理想の女性像だ。
「小百合さんのような美しい顔は偶然にしろ何兆分の一の確率でできた顔だと思います。それゆえに守りつづけていかなければ……そうです、国が保護をして、国民の宝として有形文化財にしなければ、と痛切に感じております」(『タモリと賢女・美女・烈女』家庭画報・編/世界文化社 1982年)
吉永小百合の前では、タモリもひとりのミーハーになってしまう。同じ早稲田大学に通っていた頃、偶然にも学食で吉永と同席したことがあるという。タモリが天ぷら入りのラーメンをすすっていると、吉永がコーヒーとトーストを持って正面に座った。吉永はトーストを一切れ食べた後、二切れ目は少し口をつけただけで残し、席を立った。その残されたパンを前にして、タモリは煩悶した。
「持って帰ろうかと思って、考えていたんです。だけど、『オレは硬派の人間である。芸能人に媚びるような真似だけはしたくない』と思った。でも、やっぱり欲しい。で、やっと決心した瞬間、ウェートレスが来て全部持っていっちゃった」(『タモリと賢女・美女・烈女』家庭画報・編/世界文化社 1982年)
ちなみにこのエピソードはラジオでも話され、それが歪曲して伝わり、「タモリが吉永小百合の食べ残しをムシャムシャ食べた」と広まった。
その後初めて吉永小百合と料亭で食事をした時は「座布団のはじのフサフサを全部むしり取ってしまいました(笑)」というほど緊張したという(『タモリのTOKYO坂道美学入門』タモリ/講談社 2004年)。