また1985年1月15日には、一緒にラグビー日本選手権を観戦。ハーフタイムに吉永からもらった1粒のチョコレートを、半分かじっただけで「もったいないから、家に飾っとこうかな」などと言う始末。
吉永が帰りの交通手段を案じていると知るやいなや「送ります」と真っ赤な顔で訴えた。そして吉永が座ったタモリのベンツの後部シートには「小百合ちゃん御席」と張り紙し、当分の間誰にも座らせなかったという(プロデューサー感覚『横沢彪/朝日新聞社』 1987年)。
「惜しい」の色気
近年行われた糸井重里との対談でも吉永の話題になった。糸井の父親が「こんななぁ、足の太い女のどこがいいんだよって思うんだけどさぁ……」と言ったという話を聞いたタモリは、「聞き捨てなりませんね」と軽く気色ばんだ。糸井はすかさず、「どこがいいんだよ」というのは父親なりの「いいなぁ」ということだと説明する。
「ああ、なるほど。『惜しい』の魅力ですね」とタモリは納得。「完璧な美貌のなかに『惜しい』もひそんでいる……。まったく希有な人です、あの人は」と噛み締めた(「タモリ先生の午後 2009」『ほぼ日刊イトイ新聞』2009年)。
「われわれは『惜しい』って女性にいちばん『色気』を感じるんです」「(年を取る
と)ものごとには『陰影がついてる』という事をわかるようになってくるんです」(「タモリ先生の午後 2009」『ほぼ日刊イトイ新聞』2009年)。
年を取れば女性に対する見方も変わる。若い時には完璧さに憧れるものだが、ある時点からそれがなくなった。「いまオレ、キンパツ(外国人女性)にまったく興味ない」とタモリは力説した(「タモリ先生の午後 2009」『ほぼ日刊イトイ新聞』2009年)。