小さい頃から食関係の仕事につくことは決めていた
――まず森崎さんがテレビで活躍する料理研究家になるまでを振り返りたいのですが、きっかけはお祖母さまの料理だったそうですね。
森崎 今でもそうなんですが、私はアトピー性皮膚炎で、肌がとても敏感。ハウスダストやスギ、ヒノキの花粉、それにストレスも全部肌に出るんです。子どもの頃に習っていたバレエでは、アトピーでかゆくて、つい掻いてしまい、レオタードにまで膿がつくくらいで。
そのかゆみが、祖母の作る料理をきちんと食べることで治ったんです。祖母が何気なく作る料理は、タンパク質があって、野菜もきっちり使って炭水化物も摂れる、わかりやすく言うと旅館の朝食のようなバランスの良い食事。彼女はそれを毎日作っていました。うちは8人家族なので大変だったと思います。
――森崎さんご自身は、いつ頃から料理を始めたんですか。
森崎 小学校1年生くらいからですね。8人家族だからたくさん作っても料理が次の日まで残らず、いろいろな料理にチャレンジできました。家族からも喜ばれるし、すごく料理って楽しいなって。テレビでも料理番組が大好きで、小さい頃から食関係の仕事につくことは決めていました。
いざ進路を決めるときに、母が薬剤師をしていた関係で、管理栄養士という仕事があると知ったんです。ただ美味しい料理ではなく、身体のためになる料理が作りたかった。母に仕事内容を教えてもらい、病院で患者さんのために料理を作りたいと思い、大学も管理栄養士専攻。卒業後、総合病院に就職しました。
管理栄養士の仕事で衝撃を受けた出来事
――病院での仕事は大変だったそうですね。
森崎 大変でしたね。朝3時に起きて、何百人分の食事を手分けして作っていました。それぞれの患者さんの栄養を考えて料理を作るんですが、患者さんに食べてもらわないと意味がない。自分たちが心血を注いで作った料理を患者さんが食べずに捨てているのを見たときに、「これって意味あるのかな」とすごく衝撃を受けて。
患者さんは、なぜ食べなきゃいけないかわかってない。でも管理栄養士は献立を考え、料理を作ることが仕事なので、その人にどうして食べるのが必要か伝えるのが難しい。
どうにか上手く伝える方法はないかなと考えたときに、たまたまテレビに出ている料理研究家の方を見て、メディアに出て伝えることはできないかと考え始めたんです。