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 伊勢原から大山に向かう道筋が、ちょうど駅前の大鳥居を潜った先の路地から県道61号線にあたる。いまは駅前からバスに乗り継いで、鈴川沿いの河谷集落に入ったあたりが大山の参道だ。かつて鈴川沿いには御師(いまでいう旅行代理店)の家が建ち並び、いまは旅館や土産物店などになっている。

交差した国道246号を歩くと…

 ……といっても、そんなところまで歩いていてはキリがないので、ほどよいところで駅に戻る。県道61号線の先、伊勢原大神宮のすぐ北側では国道246号と交差する。青山通りから渋谷や三軒茶屋を経て、ずーっと来れば伊勢原までたどり着けるという按配だ。さすが天下の246、クルマ通りは実に多い。

 

 ただ、道沿いを見るとどことなくのどかだ。新宿駅から1時間の町とはいえ、神奈川県央の郊外の町。地方都市らしいのどかさが残っているということだろうか。そうしてしばらく246を歩くと、のどかどころか果樹園が見えてくる。伊勢原は、ナシやブドウが特産なのだとか。

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 果樹園の間を抜けて駅に戻り、さらに線路を潜って南側に出る。古い地図を見ると、駅の南側はほとんど何もない田園地帯だった。

 しかし、いまの伊勢原駅南口は立派な市街地だ。駅前にはかつての伊勢原とうきゅう、現在は相鉄ローゼンなどが入る商業ビル(いせはらcoma)が建ち、さらにその先にはイトーヨーカドーもある。駅前商業ゾーンとしては、北口よりも南口のほうが活気づいているといっていい。ついでにいえばアパホテルも南口にある。

 

 その周囲には飲食店をはじめとする繁華街ゾーン。繁華街といっても都心のそれとはまるで違って小ぶりだが、伊勢原がひとつの都市として完結していることがよくわかる。東京に近ければ近いほど都市としての役割を分担することになるが、1時間ほど離れればひととおりすべてが揃っている必要がある。伊勢原は、そうした郊外のベッドタウンのひとつなのだ。