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参拝拠点に“分かれ道”「伊勢原ジャンクション」…新宿から約1時間の町の“素顔”
さらに、いまの伊勢原には大学のキャンパスもあれば工業団地もあって、工業都市としての側面も持つ。東名高速道路と新東名高速道路が分岐する伊勢原ジャンクションも伊勢原市内の施設だ。これからの季節、クルマで帰省や旅行に向かうご家族の皆様。伊勢原ジャンクションでどちらに向かうかは、大きな分かれ道の1つです……。
伊勢原は、ただの原野を伊勢商人が開拓して伊勢原大神宮を勧請したことにはじまった。そこから大山詣りの流行にともなって参詣拠点として発展。いっぽうで、果樹栽培を中心として農業も栄えた。小田急線が通ると、そうした役割はそのままにベッドタウン、さらには高速道路も通る交通の要衝にもなった。
伊勢原駅の駅前、大鳥居の傍らにはアサヒショッピングセンターのような昭和を感じる商業ビルや商店が並ぶ。いまも大山詣りにやってくる人の姿が目立つバスのりば。
そして、駅から少し離れたところを見れば、新しいマンションも建っているし果樹園も残る。イトーヨーカドーの駐車場に入るクルマが長い列を作っているあたりは、鉄道だけではなくクルマも欠かせない“地方都市”の一面も持っているのだろう。
これらはすべて、伊勢原の400年の歴史の結実といっていい。新宿駅からわずか1時間の、のどかなベッドタウンにも、いろいろな顔がある。そして、こうした町が1時間も下った先にあるからこそ、小田急線はどこで乗ってもたくさんのお客がいるのだろう。小田急線は、やはり底知れぬ力を持っている鉄道路線なのである。