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 ダムの建設に伴い、旧宮ヶ瀬村の中心集落の約300戸が湖底に沈むことになる。もちろん反対もあり、補償交渉が長期化して決着したのは1980年代になってから。清川村や同じく集落が水没した愛川町・津久井町(現在は相模原市の一部)とあわせて1000人以上が移転を余儀なくされたという。

 かくして、以後ダムの建設が本格化し、試験湛水を経て90年代後半から暫定運用がスタート。1998年には国体のカヌー競技会場にもなっている。そうして宮ヶ瀬ダムは完成し、宮ヶ瀬湖は清川村の名を広く知らしめる観光スポットになったのである。

 

「清川村」につながる“もうひとつのルート”

 実は、清川村側にある湖畔園地から虹の大橋を渡って相模原市側に入ると、そこからも路線バスが出ている。行き先は京王線・JR横浜線の橋本駅だ。つまり、橋本からも(30分ほど歩く必要はあるものの)清川村に入ることができるというわけだ。どちらも本数は1時間に1本と遜色はない。

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 なので、帰路は橋を渡って橋本駅にバスで向かった。タイミングもあるのだろうが、こちらは本厚木とのバスと比べるとお客が少ない。宮ヶ瀬湖を中心とする清川村を訪れるならば、やはり中心集落を通る本厚木駅からのバスに乗るのがメインルートなのだろう。かつて、炭焼きくらいしか産業のなかった山間集落は、湖底に沈んだ集落の記憶とともに、“観光の村”として存在感を増しているのである。