デビュー曲がなかなか売れなくても
デビューが決まってからは、渡辺音楽出版の制作ディレクターだった松﨑澄夫さんがプロデュースを担当してくださいました。いつものように東京音楽学院でレッスンをしていたところを松﨑さんがたまたま目にし、わたしたちを見初めてくださったのだそうです。彼女たちを担当させてほしいと会社に言ってくださったのです。
その頃にはNHKだけでなく、TBSの『8時だョ!全員集合』にも出演していましたので、グループとして歌う機会には恵まれていました。キャンディーズという存在も、ある程度は認知されていたと思うのですが、肝心のレコードの売り上げはなかなか成果が上がらず……。
振り返ってみると、当時は綺羅星のごとく、スターがたくさん生まれ出た時代だったのですよね。天地真理さん、南沙織さん、小柳ルミ子さん。(桜田)淳子ちゃん、(山口)百恵ちゃん、(森)昌子ちゃんの中3トリオなど、歌謡界自体がキラキラと輝いていた素敵な時代でした。
もちろん、3人の間でも「こんなにいい曲なのにどうしてベストテンに入らないんだろうね?」とは話していましたが、「次また頑張ろう!」とさっぱりしたものでした。
深刻にならない3人の性格と、つねに前向きな大人のスタッフがいてくれたおかげかなと思います。