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74回目の紅白歌合戦

トレードマークの「セーラー服」が伝えるものは…「新しい学校のリーダーズ」が切り開いた“独自性”《紅白初出場》

トレードマークの「セーラー服」が伝えるものは…「新しい学校のリーダーズ」が切り開いた“独自性”《紅白初出場》

2023/12/31
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 正直に書けば、筆者は2019年のTIFのあと、彼女たちのことをほとんどチェックしていなかった。だからこそ今年に入ってからの大ブレイクに驚いたのだ。しばらく目を離したためにブレイクの瞬間を見逃すという失態を、筆者は過去にもPerfumeに対して犯していた。そういえば、Perfumeも結成8年でブレイクしたのではなかったか。世界デビューしたという点でも両者は共通する。

世界デビュー決定後の苦難

 新しい学校のリーダーズの世界進出は、まさに筆者がチェックを怠っていたあいだの2021年のことだった。まず1月に、アメリカを拠点とする音楽レーベル・88risingからデジタルシングル「NAINAINAI」をリリースして全世界デビューを果たすと、3月から2ヵ月半にわたり、ロサンゼルスでメンバーが共同生活をしながら楽曲制作に取り組んだ。

『ナイナイナイ』(2021年)

 さらに11月には、ロサンゼルスで開催された2万5000人規模の大型音楽フェス「Head In The Clouds Festival」で海外初パフォーマンスを行った。それでも物怖じすることなく、出演を終えたあとで《舞台がアメリカでも、爪痕を残せる自信はありました。誰も見たことのないステージにしたい気持ちは一貫しています。海外の方々の熱量がすごくて、私たちの曲に合わせて大暴れして盛り上がってくれました》(SUZUKA)と語り(『FRIDAY』2022年1月21日号)、満足のいくパフォーマンスができたようだ。

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 世界デビューが決まった直後にちょうどコロナ禍に入ってしまい、アメリカのスタッフとはZoomでやりとりしたり、日本でスタジオにこもって歌詞を書くことに挑戦したりしていたという。

 コロナ禍では、それまで週3~4回やっていたライブができなくなったため、その分、SNSでの発信に力を入れ始める。TikTokにも積極的に投稿していたが、ほかのアーティストの曲をアレンジして4人で踊っていると、一般のTikTokerと思われることも多かったらしい。また当初は、自分たちの持ち歌で投稿しても再生数がなかなか上がらなかった。それだけに「オトナブルー」がTikTokでバズり、一躍アーティストとして認知されたときはうれしかったという。ただ、あの首振りダンスを完成させたときは、当初より4人とも手応えを感じていたようだが(『GQ JAPAN』2024年1・2月号)。

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