共演者が「CMの間くらい休めばいいじゃないか」と思っているのに、常にお客さんに向かって、喋り続けている明石家さんまさん(68)。さんまさんはなぜ喋ることを止められないのか? そして、それがお客さんに与える好印象とは?

 タレントの渡辺正行さんの著書『関東芸人のリーダー お笑いスター131人を見てきた男』(双葉社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

なぜさんまさんは喋り続けるのか?(写真:時事通信)

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『いいとも』でのさんまさん

『いいとも!』では、司会のタモリさんからさまざまなことを学ばせてもらったが、それ以外にも、芸人としてのすごさを見せつけられたレギュラー出演者がいた。

 1984年以降、11年半という長きに渡って出演していた明石家さんまさんである。

 さんまさんとは、1982年から『ひょうきん族』で共演し、そのすごさは十分知っていたが、それは、「タケちゃんマン」のコーナーでの姿だった。

 それに対して、『いいとも!』は生放送のうえ、担当していたのはトークコーナーであスタイルは違ったわけだが、さんまさんの手に掛かるととにかく面白く、だからこそ、長寿企画になった。

 基本的なセットは、舞台の中央に丸くて小さなテーブルがあるだけで、それを挟んで、さんまさんとタモリさんが立ち、ただただ雑談を繰り広げていた。

 今では、一般的に「フリートーク」と呼ばれているが、タモリさんが「雑談をテレビでやったのは初めて」と振り返ったことがあるように、当時としては、画期的なコーナーだった。

 ちなみに、トークのスタイルはほとんど同じでも、タイトルは何度か変わっている。中でも、よく知られているのは「タモリ・さんまの日本一の最低男」だろうか。

 実際、2014年3月31日に生放送された『笑っていいとも! グランドフィナーレ 感謝の超特大号』という特番で、二人がコーナーを再現しようとしたとき、タモリさんは「日本一の最低男をやろう」という言葉を口にしている。

 それはさておき、さんまさんの担当は毎週金曜日であり、俺は毎週月曜日だった。つまり、『いいとも!』で共演することはなかった。

 しかし、さんまさんのコーナーをテレビで見れば見るほど、「すごいなあ!」という感想しか出てこないのだ。

 当時、タモリさん相手に、あれほどイジり、ツッコミを入れる人はいなかった。タモリさんも応酬し、面白さがどんどん広がっていった。