それも、生放送でぶっつけ本番、ノープランでトークしていたわけだから、芸人の誰もがマネできることではなかった。
さらに、さんまさんは、CM中も、常にしゃべり続け、会場の熱気を冷まさないようにしていた。
俺からすれば、
「CMの間くらい休めばいいじゃないか」
とも思ったりしたのだが、さんまさんにとっては、出番が始まったら、CM中だろうがなんだろうが、終わるまでがステージなのだ。目の前に観客がいる限り、トークで楽しませることを絶対に忘れなかった。
それによって、CMが明けたときに観客が笑っているものだから、
「えっ、いったい何があったんだろう?」
と、視聴者をますますテレビ画面に釘付けにさせていた。
そのトークは、『いいとも!』が終わっても続き、その後に同じスタジオで生放送する『いただきます』の冒頭にもそのまま出る。
誰も発想しなかったし、さんまさんだからできたことだ。そうした姿勢はすごく勉強になったが、さんまさんは、仕事以外でも、ずっとしゃべり続けている。
名前は「さんま」でも、本質は「マグロ」
ロケバスに乗っているときも、絶対に寝なかった。ほとんどの人が、移動中くらいは寝ようと思っているのに、さんまさんは、ずーとしゃべっている。
名前は「さんま」でも、本質は、たえず泳いでいないと死んでしまう「マグロ」なのだろうさんまさんのことは気にせず、ロケバスで寝ようとして目を閉じても、話す内容が面白いため、ついつい耳を傾け、プッと吹き出すこともあった。そうなるともう、さんまさんの餌食になり、会話に入らざるを得なかった。
さんまさんと知り合ってから早や40年。きっと、今日もしゃべり倒していることだろう。
そう、“お笑い怪獣”はいつだって健在なのである。