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 古坂が2017年に出演したバラエティ番組『ウチくる!?』(フジテレビ系)での発言によると、諦めなかった最大の理由は、同じ「ボキャブラ世代」の芸人たちからの「やめんなよ」という声だったようだ。

『ボキャブラ天国』が放送されていた頃、古坂はとにかく楽屋で彼らを笑わせていた。それは“楽屋番長”の異名を取るほどで、まだ世間にはほとんど知られていないお笑いの才能を誰もが認めていた。

 まさに“芸人から愛される芸人”であり、だからこそ、『くりぃむしちゅー』の上田晋也や『爆笑問題』の田中裕二たちは、やめさせないために、さまざまな場所で古坂の面白さを伝え続けた。

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「ボキャブラ世代でおもろいヤツ、誰がおる?」

 たとえば、上田は『ウチくる!?』にサプライズゲストとして登場したとき、明石家さんまさんとのこんなやりとりについて話している。

「ボキャブラ世代でおもろいヤツ、誰がおる?」

「古坂っていう、日本一面白い芸人がいます」

 そう表現することで、古坂を認知させようと思ったそうだが、さんまさんは、別のところに食いついた。

「日本一ってことは、俺よりおもろいんか!」

「いえいえ、さんまさん。たとえばボクシングの世界。ランキングは日本3位、2位、1位がいての日本チャンピオンじゃないですか。古坂は日本1位ですけど、さんまさんは日本チャンピオン、いや、世界チャンピオンじゃないですか!」

「せやろ!」

 さんまさんの機嫌を損ねたと思った瞬間の自身の切り抜け方について、上田は「人生で一番だった」とも語っている。

 さらに、上田は、2006年8月、テレビの仕事がない古坂のために、CS放送で、自身のバラエティ番組『上田ちゃんネル』(テレ朝チャンネル)を立ち上げ、古坂をメインのレギュラーに迎えている。

 そうして背中を押されているうちに、古坂は音楽活動を続けつつ、「芸人としても頑張らないといけない」と思ったのだろう。2008年、古坂は突然、「ラ・ママ」のネタ見せにやってきたのである。

「えー! 古坂がネタ見せに???」

 最初に聞いたときは驚いたが、底抜けAIR─LINEがデビューしてから立ち続けていた“芸人としての原点”の場所に、今度はピン芸人になって、帰ってきたのだ。

 基本的にネタ見せは、若手芸人のオーディションを兼ねているため、俺は、「古坂には必要ないよー」と、伝えた。

 底抜けAIR─LINE時代からずっと見てきたし、たとえピン芸人になっても、名前もあるし、実力が十分通用するだろうと思っていたのだ。

 しかし、古坂の考えは違った。

「僕も、オーディションからコント大会に進む手順を踏ませてください!」

 そんなふうに口にすると、無名で年下の若手たちに混じって、ネタ見せに参加した。古坂ほどのキャリアをもってしても、かなり緊張したようだ。