道路拡張計画のために20年住んだアパートが立ち退きの危機になったことをきっかけに東京都杉並区の区政を調べはじめ、気づいたら選挙のドキュメンタリー映画を撮っていたというペヤンヌマキさん(47)。
選挙では、ペヤンヌさんが密着していた岸本聡子さんが187票差の大接戦で当選。
女性同士の人間関係を描いた会話劇を得意とする演劇ユニット「ブス会*」を主宰してきたペヤンヌさんにとって、選挙の世界に足を踏み入れるのは初めてのことだった。
しかし「政治・選挙」という知らない世界をのぞいて見たら、そこはイメージとは違う場所だったという。
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「私も、自分が育った地元の人間関係はちょっと煩わしいです。ただ…」
――まる2カ月選挙を密着撮影してどうでしたか?
ペヤンヌ 阿佐ヶ谷に20年間住んでいても、周囲の人とのつながりが全くなかったんですよね。子供を産んだりしていたら違ったかもしれないけど、生活の基盤が仕事だったので。友人が働いているお店以外だと行きつけのお店もなかったし、ご近所に誰が住んでいるかも知らないし。それが、選挙のお手伝いをしたおかげで一気に人間関係が広がりました。
――「隣の人と無関係でいられる」ことを求めて上京する人も多そうですが、ペヤンヌさんはつながりができることを煩わしくは思いませんでしたか?
ペヤンヌ 私も、自分が育った地元の人間関係はちょっと煩わしいです。「あの家の子、〇〇らしいわよ」みたいな(笑)。ただ私にとって杉並は地元じゃないから、逆に知り合いができることが嬉しいんですよ。近所に知り合いが全くいないのは心細い。特に災害のときとか、自分の住んでる町の情報はやっぱり町の人が一番持ってますし。
――近所の人とつながりができることは、意外とマイナスではなかった。
ペヤンヌ 特に私の場合は、この街が好きで今の緑がある風景を守りたいという共通の目的があったのも大きかった気がします。