――岸本さんが女性だからか、選挙のお手伝いも女性の方が多いように見えました。実際はどんな印象でしたか?
ペヤンヌ たしかに女性の方が多かったですね。男性たちは意識的に表に出ず陰で支えてくださっている感じでした。「選挙」って言うとマッチョなおじさんが牛耳っているようなイメージがあったんですけど、立候補した岸本さんも女性ですし、陣営の代表も女性。実際、口コミを広げるのって女性の方が得意ですよね。PTAをやっていた人ってこんなに地元に影響力があるんだ、と驚きました。
――世代的には何歳くらいの方が多いんでしょう。
ペヤンヌ いちばん多いのは60〜70代くらいですかね。20、30代はほとんどいませんね。今振り返ると、うちの親もそのくらいの年の時期に趣味の講座に10種類ぐらい通ってたんですよ。仕事を引退してゆとりができて、でも体力や知的な好奇心はまだ全然ある。そういう時期にできた時間やゆとりが、市民運動に向かっている部分もあるのかなと思います。皆さん公民館で集まって勉強会をしたり、アクティブで生き生きとしていて私もそういう老人になりたいなと思いました。
――ペヤンヌさん自身は働き盛りと言っていい年齢だと思いますが、人生の中で仕事の比重が下がってきた感覚があるのですか? ご自身の仕事や生活が今も不安だとおっしゃっていましたが、ご自身の興味の中で、例えば恋愛とかキャリアとかが全体に占める割合が減ったなという感覚があるのでしょうか。
「一番大きかったのは、『子どもを産むかどうか』でした」
ペヤンヌ 20代や30代の頃の方が仕事や恋愛で手一杯だった感覚はありますね。一番大きかったのは、「子供を産むかどうか」でした。私は今47なんですけど、40歳くらいまではやっぱり頭のどこかで「私も子供を産んだ方がいいのかな」「でも、そのためには結婚しなきゃ」「じゃあ恋愛するのか」という焦りがずっとあって。それが薄れて、自分が子どもを持つ人生じゃないんだなと思えた時にすごく楽になりました。それなら今の状況で自分が一番楽しく暮らせることだけを考えようって。
――子どもを産むことへの未練があった、と。
ペヤンヌ もう産まなくていいやって思ったつもりでも、頭の片隅で「もしかしたら、まだ子供を持つ人生もあるかも」と思ったりするんですよね。同業の脚本家の方でも、妊娠・出産を経て新しいジャンルに挑戦している人を見ると羨ましくなるところもありました。物理的に子どもを持つことが難しい年になるまで、結局その未練ははっきりは消えませんでしたね。