首都圏を代表する通勤路線のひとつ、横須賀線。いまではほとんどが総武線に直通しているから、「横須賀・総武快速線」という名前のほうが大多数に膾炙しているかもしれない。また、湘南新宿ラインからも横須賀線への直通列車がある。
と、これだけでも首都圏の鉄道ネットワークの複雑さが垣間見えるが、ここでは「横須賀線」に限ろう。横須賀線は東京駅から武蔵小杉、横浜、大船、鎌倉などを経て、三浦半島の先っちょ、久里浜駅を終点にしている路線だ。
もちろん「横須賀線」と名乗るからには、横須賀駅も通る。終点の久里浜駅から2駅手前が横須賀駅だ。
が、時刻表を眺めてみると、横須賀線と名乗りながらも意外と横須賀駅まで走る電車が少ない、ということに気がついた。夜の帰宅時間帯こそ結構な本数が横須賀駅を経て終点の久里浜駅まで走っているが、真っ昼間は1時間に6本のうち、横須賀駅・久里浜駅まで行くのは1本だけだ。
それ以外の電車は、湘南新宿ラインからの直通を含めてすべて逗子駅止まり。そう、横須賀線とは、その名に反して“横須賀に行かない横須賀線”なのである(逗子~久里浜間だけを走る電車もあります、念のため)。
JR横須賀・総武快速線“ナゾの途中駅”「横須賀」には何がある?
……などと、時刻表遊びをしていると、やはり横須賀とはどういう町なのかが気になってくるものだ。横須賀には海上自衛隊や在日米軍の基地があるということは有名だから知っている。というか、取材で横須賀の海自を訪れたこともある。だから、横須賀駅自体はどんな駅なのかもおぼろげながら記憶にある。ただ、残念ながら横須賀の町を歩いたことは、ほとんどないのだ。
そんなわけで、1時間に1本だけ横須賀駅まで運んでくれる横須賀線に乗って、東京駅から約1時間30分。横須賀駅に、やってきた。
横須賀線の終点は久里浜駅なので、横須賀駅はあくまでも途中駅だ。ただ、駅そのものはどことなく終着駅の雰囲気を持っている。