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「パラサイト」俳優を追い込んだ韓国の“対麻薬戦争” イ・ソンギュンやG-DRAGONは「大きな獲物」だった?

2024/01/12
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 仁川警察は10月19日未明、A子を逮捕。そして同日夕方には、「仁川警察が40代のトップスター俳優を内偵捜査中」というリークが、それがイ・ソンギュンであると特定可能な情報を添えて一斉に報じられた。イ・ソンギュン側は翌日、自ら捜査に協力すると宣言。同時にA子を含む2人から脅迫・恐喝されていたことを公表した。

 イ・ソンギュンとA子が何らかの関係にあったのは事実だ。A子は “イ・ソンギュンが粉末の向精神薬ケタミンをストローで鼻から吸引するところを見た” と供述したが、イ・ソンギュンは “吸ったのはA子から睡眠薬だと言って渡された粉末” として容疑を否定した。

 大麻吸引を示唆するA子との通話音声も公開されたが、尿、頭髪、体毛などを複数回にわたって鑑定した薬物検査の結果は全て陰性。警察はA子の供述からイ・ソンギュンが2022年10月、2023年1月、6月、7月に麻薬を使用したと主張したが、検査結果が出た11月から遡って最低10カ月はその事実がないことが判明した。

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 問題は、警察にとって唯一の頼りとなったAの供述が二転三転していることだ。警察はAの話をもとにイ・ソンギュンが麻薬を使用したとする日付を公表したが、何度も修正を余儀なくされた。A子は物証として自宅に大麻吸引用のパイプがあるとも供述したが、家宅捜索で見つかっていない。

G-DRAGON ©時事通信社

A子は3回有罪判決を受けた麻薬常習犯だった

 Aはまた、K-POP男性グループBIGBANGのG-DRAGONが麻薬を使用したとも供述している。G-DRAGONは小松菜奈や水原希子との熱愛報道でも話題になり、「キングオブK-POP」と呼ばれることもある大物だ。

 仁川警察は2023年10月25日にG-DRAGONを起訴したが、こちらもやはり薬物検査は全て陰性。A子は翌月になって “G-DRAGONが麻薬を使ったところを見たわけではない” と言い出し、供述が作り話だったことが分かった。12月14日には仁川警察が嫌疑なしとして白旗を上げ、冤罪が確定している。

水原希子 本人インスタグラムより

 10月30日には、A子が過去に3度の有罪判決を受けて服役した麻薬常習犯だったことが判明。A子が服役中に知り合い、出所後に行動をともにしていた詐欺犯の女性Bが、脅迫・恐喝でイ・ソンギュンに告訴されたもう1人の共犯だ。2人は何らかの手段でイ・ソンギュンを脅し、計3億5000万ウォン(約3860万円)を奪い取ったとされている。