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小5で生き別れた母が死去、手紙には「会う資格がない」と…児童養護施設出身の戦隊俳優・古原靖久(37)が語る「家族」への想い

古原靖久さんインタビュー #3

2024/01/27
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スマホが通じないアフリカの秘境に行って“気づいたこと”

――大人になってから、ご自身の生き抜く力や環境への適応力を感じたことはありますか?

古原 僕が出ている『秘境×鉄道』という番組で、これまでいろいろな秘境に行ってきたんですね。秘境って人よりも動物のほうが多くて、一度アフリカに行ったんですけど、電波が通じなかったりスマホを持っていない人たちがたくさんいる場所で。

 そこで電車が来なくて、3時間、4時間、5時間と待ち時間が発生して、僕、本も持ってないし電波も通じないしで、やることがなくなって。そのとき、同じように電車を待っていた現地の人たちは何をして過ごしていたと思いますか?

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――例えば、寝たりとかですかね。

古原 みんな空を見上げてるんですよ、ずっと。だから「何やってるの?」と聞いてみたら「え? 何もしてないよ」と言われて。「でもさっきから空を見ているよね、何かが飛んでいたりするの?」と聞いても「いや全然、何も」と。

 そうしたら相手が「君は何を焦っているんだい?」と僕に言うんです。僕が、電車を待ちながらも何か焦っているように見えたみたいで。

「電車なんて来るまで何もしようがないんだから、別に焦る必要はないんじゃないか」と言われた時に、当たり前のことを言われているんだけどなんだか感動して。

『秘境×鉄道』という番組で、世界各地の秘境を訪れている古原さん(写真=古原靖久さんのInstagramより)

考え方ひとつで生き方や人生は変えられる

――確かに、私も何か待ち時間が発生したらスマホを触ったり本を読んだりしちゃいます。何もしていないと、変に気持ちが焦るような。

古原 ね。だから僕もそのとき、みんなと同じように空を見上げて時間を過ごしてみたんです。すると心が無になって、だんだんちょっとした変化が面白くなってくる。「あっ、太陽が雲に隠れたなぁ」「お、雲から太陽が出てきた」とか、ちょっとした動きが楽しくて。

――本気のデジタルデトックスのような。

古原 徐々にスマホも何もない環境に適応していきました(笑)。そのときの経験は人生の中でも学びになっていて、例えばSNSで見たくないことがあるときは、僕はアプリをアンインストールしたりするし、デジタルデトックスするようにしていて。考え方ひとつで生き方や人生は変えられるんじゃないかな、と今は思ったりしてます。