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小5で生き別れた母が死去、手紙には「会う資格がない」と…児童養護施設出身の戦隊俳優・古原靖久(37)が語る「家族」への想い

古原靖久さんインタビュー #3

2024/01/27
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児童養護施設で育った経験を発信するワケ

――古原さんはご自身の生い立ちを公表されていますが、いつからお話しするようになったんですか。

古原 僕、最初から隠していないんです。ただ表立ってわざわざ言わないというだけで。以前所属していた事務所は「会話の中で出ちゃったら仕方がないけど、施設出身だということを押していくのはやめよう」というスタンスでしたけど、僕としては「もう、別に隠したりする時代じゃないな」と思う部分もありました。

 むしろ僕が話してみんなに知ってもらったほうが、僕のあとに同じような経験をする人々のためになるでしょう。

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――自分と似た経験をした人がいる、という事実だけでも救いになることがありますよね。

古原 そうですね。今は事務所を辞めてフリーになったので、これまでよりも表立ってそうした活動を行えるようになりました。最近はYouTubeで自分の経験を話したり、講演会に呼んでいただいたりしながら、裾野を広げています。

 僕が苦しんでいた時代は、頼れる人がいなかった。本当は自分のことを話せる人や、相談できる人がほしかったんです。そうしたらもっと、気持ちが楽だったんじゃないかなと。

 当事者の人の講演会なんかにも僕は行ったことがなかったから、心を和らげる方法を自分で作り出すしかなかった。なので、そういう生き抜く道を知ることができる機会は、重要なんじゃないかと。

 

マイナスなことから離れるのは、負けでも逃げでもない

――多分このインタビューを読んでいる人の中には、家族関係や過去の傷のことで悩んでいる人も多いと思いますので、何かメッセージをいただけないでしょうか。

古原 僕は基本的に「自分が何かに対して大きな責任を抱えている」と思い過ぎないほうがいいと考えています。色々なことに関して。例えば家族の問題ですけれど、親やきょうだいと関わることが自分にとってマイナスになるのであれば、離れてしまってもいいと思います。「離れられない」というのは互いに「依存」しているケースもある気がしていて、なかなか難しい問題でもあるんですが。

――いわゆる「共依存関係」にあるケースですね。