徳島から夜行バスに乗り立川競輪場の『KEIRINグランプリ2023』を見にいった。そして松浦悠士の優勝の瞬間を見て松浦が勝利選手インタビューで感極まって涙したのを見てこっちも泣いてしまい、帰りの夜行バスの車中、スマホでレースダイジェストをリプレイしながらまたえぐえぐ泣いてしまい、前や隣の席の人がカーテンのむこうで明らかにおびえていて申し訳ないことをした。家についたのはまだ暗い朝5時半、旅の荷も解かずテレビをつける。『坂上忍の勝たせてあげたいTV 人力最速王決定戦!KEIRINグランプリ2023』を予約録画してあったからだ。

 競輪が地上波キー局で中継されることは年に7回しかない。その年ラスト、優勝賞金1億3700万円の競輪界最高峰レースで推しの松浦が優勝したのだ。それを地上波のテレビで中継! なんだかんだ言ったって地上波テレビはマスコミの王者である。そこで松浦感動の勝利がどう描かれたのか!……と。

※写真はイメージ ©AFLO

 今まで何回も、競輪中継番組を取り上げている。そしていつも同じことを言ってるのだ。「なぜレースの中継番組ではなく、バラエティ番組にしてしまうのか」と。でもその理由はよくわかっている。テレビを見る人に「まず競輪に興味を持ってもらうため」にやってるのだ。30年ぐらい前の競馬番組もそうだった。出走馬やパドックそっちのけでバラエティタレントの馬券当てゲームみたいなことをやっていた。競馬というものが浸透したおかげで今はふつうの中継番組になっている。うらやましい。

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 坂上忍のこの番組がはじまって10年になる。そしていまだに「競輪に興味を持ってもらう」ためのバラエティ番組が続いている。選手の太ももサイズとか、声優オタク選手紹介とか、競輪選手が五輪で活躍!?とかいろいろやってきて今回は「自転車漕いで発電、メリーゴーランド回す」「競輪選手がふだん浴びてる風圧を体験」……こう書くとアレだけどけっこう笑っちゃったし、坂上さんはじめ制作側の競輪をなんとかしたいという気持ちは伝わる……が……ふつうにグランプリ出走9選手の今までの走りとか紹介するだけではアカンのか。そっちのほうが競輪に興味を持ってもらえて競輪が浸透するんじゃないかと思う私は甘いのか。

 と、松浦勝利の場面でまた涙ぐんだりしつつも見ていたが、ゲストに来ていた武豊が、松浦勝利の瞬間、たぶん車券を外したっぽいマジな表情をチラッと見せたのが何か一服の清涼剤のようでした。武豊はギャンブラーとして信頼できる。競輪好きらしいしゲストじゃなくレギュラー、いやMCで、競輪バラエティ中継番組やってくれんかなあ。それなら見たいんだけど。ムリかさすがにそれは。

INFORMATION

『坂上忍の勝たせてあげたいTV KEIRINグランプリ2023』
日本テレビ系 不定期
https://www.ntv.co.jp/kataseteagetai/