心地よい関係をつくる淡交のすすめ
緩いつながりながら、長く続く関係もあります。頻度が低くても、中身の濃い交流は可能です。
距離感もありつつ、細く長く、それでいてしっかりつながり続ける関係を、「淡交」と呼びます。
中国の古典『荘子』に、「君子の交わりは淡きこと水の如し、小人の交わりは甘きことあまざけの如し」という言葉があります。あまざけのようにベタベタしたつきあいより、水のようにあっさりしたつきあいがいいということです。
互いに相手を理解しながら、無理のない範囲でゆったりやりとりをする。年一度程度のやりとりだからこそ、心を和ませ、刺激を与えてくれる、そういう淡交の仲間が増えると、人間関係が豊かになります。
急用ではない用件、たとえば面白かった本や映画の感想などをメッセージして、「時間ができて気が向いた時にでも、お返事いただければ嬉しいです」などと書き添えれば、淡交のメール友達になれるでしょう。「距離を置く」のは、必ずしも悪い意味ではありません。このぐらいの距離感や頻度でやっていきましょう、というコミュニケーションのテンポ感が共有できればよいのです。
無理のない関係であれば、返事がすぐにこなくてもイライラすることはありません。返事が来れば嬉しい、となります。年に一度の年賀状のやりとりに近い、昔ながらの関係と言ってもよいかもしれません。
また私は犬を飼っていますが、ふつうの人間関係と異なり、犬仲間(犬友)は犬をめぐる話題については極めてオープンに話します。飼い主同士が、犬に成り代わって話しているようなところがあり、お互いが明るく仲良くすることで、犬も仲良くなるのです。
犬の成長やストレス発散を願って、犬に関しては濃い交わりをする、分野限定の濃い交わりです。
このように全人格的ではない交わりも、気楽なものです。