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一周回って「年功序列」と「中途採用控えめ」が結局最強という話「プロパーをちゃんと育てる」組織が、社員やお客さまとともに成長する?

2024/01/26
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 賃上げの猛威が日本社会を覆っております。

 いや、私もいいと思うんですよ、賃上げ。従業員2名、業務委託たくさんの弊社でも寸志を出したりほんのり昇給したりで対応しています。頑張れ俺。取引先さまや顧問先さまからの「どうやって賃上げするか」というお悩み相談などを頻繁に頂戴するようになりました。売り上げが先に上がらないと、なかなか先に賃上げなんてできませんからね。

人間としての考え方が色濃く反映される人事

 本稿でも何度か書いておりますが、会社組織と人事、採用の関係というのは分けて考えることはむつかしく、かなりの意味で、創業者・経営者の人間としての考え方が色濃く反映される分野です。「社員は家族も同様に暖かく包み込むべき」と考える経営者もいれば「会社は所詮はただの器。社員の成長を考えるよりは、いまの能力を使い倒して利益を出そう」と思っている経営者もいます。それはまあ、各々の経営者が己の信じるところを頼りに好きに経営したらよろしい。

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写真はイメージ ©️AFLO

 日本でもスコアリング社会が到来しそうだ、と書いていたんですけど、さらに環境が激変してきました。どうやら、年末年始を挟んでもっとすごい変化が起き始めてるようなんですよね。最高に困ったものです。

「バ畜」と「タイミー興隆」に見る、“スコアリング社会”最大の問題点について《中国に続き日本にも…》
「置き換えが効く」仕事ほど、点数で決まる経済が来ている
https://bunshun.jp/articles/-/67139

 また、バブル崩壊後、失われた10年を経て日本経済は産業空洞化やデフレ経済に直面して、固定費そのものである社員を投げ捨ててでも会社を守るために、日本型経営との決別を良しとし、成果主義的な組織運営方針に回る会社も増えました。特に、世界的なブランドで活躍する輸出企業は、製造業を中心に海外の先進的な組織論を自社に取り入れ、選択と集中を考えながら「人が辞めても組織が回るジョブフロー」を作ることが至上命題となり、そのマニュアルにハマる社員は、人の形をしたパーツと扱われることも増えたわけです。

「人はコスト」と考える経営で合理化を進めるのが平成の経営論の王道だったわけですね。

空前の労働力不足である時代の到来

 ときは下って平成が終わり令和の時代になると、我が国も少子高齢化と共に働き方改革、そしてコロナやウクライナ・ガザ地区情勢を理由とする資源高と円安によるコストアップインフレの時代となりました。そうすると、俄然「仕事はあるけど雇える人がいない」という空前の労働力不足の時代が到来したわけであります。