内田 今日出かける前に、本木に小泉さんとの思い出を聞いてみたんです。20代のときに初めて連続ドラマで恋人を演じたことがあったそうですね(「あなただけ見えない」1992年、フジテレビ系)。そのときに、若いのに上からモノを言うようなスタッフさんがいて、本木も「なんか危ういな」と思っていたんだそうです。
すると今日子さんがスパーンと、「あなた、そんなふうに何でもわかったように思っていたらダメよ。足を掬われるわよ」と注意したんですって。
小泉 覚えてないけど、言ったんでしょう(笑)。
内田 モノを作る者同士として言うべきことは言う。自分が不愉快だからではなく、相手が大失態を起こしてからでは遅いから言うんですよね。つまり相手に寄り添って注意する。本木は「かっこいいな」と羨望の目で見ていたんですって。
「生まれもって覚悟が……」樹木希林による小泉今日子評
小泉 お父様の内田裕也さんとは、崔洋一さんの初監督作品であり私にとっては映画デビューであった『十階のモスキート』(1983年)でお会いしているし、お母様の樹木さんとはテレビドラマ『女の一生』(1985年、テレビ朝日系)で共演させていただきました。
内田 母は折に触れて今日子さんを見てきて、「誰に対峙しても、どんな状況でも自分の態度を変えないっていうことは、きっと生まれもってそういう覚悟が備わっている人なんだね」と言っていました。本当に生まれたときからそういう人だったんですか? なんて生まれたときのことをご本人に聞いてもね(笑)。
小泉 親やきょうだいに言わせると、そんな子だったみたいです。ひとりで自分の世界を生きたいんだっていうところがあったそうです。
内田 常に状況を俯瞰して見ているところがありませんか。
小泉 私は3人姉妹の末っ子だから5人家族の中に最後に遅れて入ったんですよね。もう、なにかでき上がっているなあっていう感じで。
内田 そこにどうフィット・インしようかと(笑)。
小泉 そうそう。様子見してちゃんと動かないと次姉に怒られちゃう。長姉は8歳上だったので年少者に対して優しかったけど、次姉とは2歳しか違わないから、父親と2人でふざけ合っていると「お父さんが甘やかすからこんな子になるんだよ」とか言われて。
内田 厳しめのお姉ちゃんですね。
小泉 今はすごく仲がよくて、対等に付き合える関係です。