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こんな声も紹介しよう。「私の出張ホテル選びは、①朝ごはんの内容、②大浴場があるか、です。立地場所はタクシーを使うことも多く、優先度は低いです」(30代後半の男性)。

マーケティングや商品開発の現場では「消費者はどんどん進化する」という共通認識がある。ドーミーインが最初に訴求した1995年にはなかった「ビジネスホテルの大浴場」も今では多くの競合が取り入れるようになり、それを利用する消費者の目も肥えた。

「朝食」も同様だ。和食・洋食・中華メニューに加えて、各施設ならではの特徴を打ち出さないと支持が広がらない。中には「朝食付き」として提携する近くのカフェでパンメニューを提供するビジネスホテルもあるが、施設内でメニューを深めるホテルも増えてきた。

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とはいえ、ラグジュアリーではないビジネスホテルは「経費」や「予算内」で宿泊するお客(消費者)と向き合う。その中で何にこだわり顧客満足を追求するか。後編ではドーミーインの「サウナ」を中心に紹介したい。

高井 尚之(たかい・なおゆき)
経済ジャーナリスト/経営コンサルタント
学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。