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“やりたい放題”だった馳知事

 ここで私が注目したのは「情報発信が上手くいっていない」「記者会見もお仕着せの内容が続き」という部分だ。これは実は昨年来、当コラムでは何度も何度も書いてきたポイントだ。おさらいしよう。

 馳浩知事は地元石川でマスコミに対してやりたい放題だった。昨年1月の定例会見で、自身が元日に出場したプロレスの興行をめぐり、馳氏の意向で石川テレビに試合映像を提供しなかったことを明らかにした。

 理由は、石川テレビ制作のドキュメンタリー映画『裸のムラ』(五百旗頭幸男監督)について、自身や県職員の映像が無断で使用されていたとして、「肖像権の取り扱いについて、倫理的に納得できていない」というものだった。そのうえで石川テレビの社長と議論の場を持ちたいとし、定例会見を拒否した。

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映画『裸のムラ』(2022年)

 つまり馳知事は『裸のムラ』が気に入らないから意趣返しとして自分のプロレスの映像は貸さない、定例会見もやらないと言っているに等しかった。滑稽だがこうした態度は地元では効果があるのだろう。

 馳浩はなぜそんな強引な態度ができるのか?

 実は、定例会見拒否では「地元メディアの報道姿勢」も問われていた。北國新聞はこの問題ではおとなしかったのだ。北國新聞は馳浩の“後見人”である森喜朗と近いとされるので馳はそんな安心感もあって言うことを聞かないメディアを名指ししているように見えた。まさに「虎の威を借る狐」である。

北國新聞の独特すぎる「𠮟り方」

 そして記憶に新しい、昨年11月のこれ。

『馳浩知事、東京五輪招致で「機密費でIOC委員に贈答品」 後に撤回』(毎日新聞11月17日)

 この問題が起きたとき、北國新聞は一面コラム「時鍾」でこう書いた。