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「私が大きな試験で良い成果を残した時には、『あなた一人の力ではない。誰のおかげだと思っているのか。あなたは一人では何もできない』等と言われ、自尊心を育む機会や自分の成功を喜ぶ機会も奪われたという印象が強いです。

 そのようなことが日々の生活で手を変え品を変え繰り返される中で、自分の感情や好みがだんだんわからなくなっていき、大学生になるころには離人症を、20代では線維筋痛症を発症しました」

実家へ帰ろうとすると過呼吸に

 吉田氏が受けた親からの仕打ちは心理的なものがほとんどであり、万人をして虐待と言わしめるほどの暴力があったわけではない。しかしそれでも後遺症は根深い。

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「司法試験に合格して自立したあとも、実家へ帰ろうとすると過呼吸になっていました。

 それでも、『良い関係にしたい』『諦めたくないと』思い、努力しました。『自分の親にさえ愛されることがなかった自分』や『自分には愛情あふれる親がいない』という事実を受け入れることがとても苦しかったからです。

 しかし、そのような努力をしているうちに、だんだん希死念慮が強くなっていき、本当に生きていることがままならない精神状態になっていきました。そこで、私は親と距離を置く決断をしたのです。

 心理系の書籍を読んでセルフカウンセリングしたり、精神科に併設されている相談室のカウンセラーさんを頼ったりして、一歩ずつ過去の問題を解消し、5年ほどかけて希死念慮はなくなりました。しかし、今でもフラッシュバックは続いています。頻度はとても減りましたが、ひどい悪夢でうなされたり、言いようのない不安感に襲われたりするので、今も定期的にカウンセリングに通い、精神科の先生とお話しするようにしています。

©AFLO

 トラウマが消えることはありません。どんなに逃げても、過去は自分の一部であり、さまざまな形で顔を出します。でも、過去とは共存していくしかなく、それならば少しでも幸せに共存していくために、自分自身の過去や内面と向き合い続けようと考えています。毒親問題は、一生続く根深い問題なんです。

 痛みがわかるからこそ、悩む人の力になりたい。それで、同業者が敬遠する案件だとしても、毒親問題に積極的に取り組んでいます」

親と距離を置くことは間違いではない

 とはいえ、家族の在り方が一様ではない以上、そのサポートの仕方に正解はないだろう。吉田氏は毒親に悩む人たちにどのような解決策を提案、実践しているのか。