「先ほども述べたとおり、毒親問題は、当事者の方にとっては一生をかけて向き合っていくことになる問題です。ですから、私が提案する方法を解決策と呼ぶのは、おこがましいようにも思います。
ただ、当事者の方がまず自分の人生を立て直したいと思う時、その出発点として、親と距離を置いて、心身ともに安全な状況に身を置けるようにすることが必要なのは間違いありません。
自分を心身ともに苦しめてきた親から接触を受けている状況では、自分の人生を立て直すということは不可能だからです。私は、この出発点に立つお手伝いをしています」
子どもからの内容証明郵便を「洗脳された」ととらえることも
「経済的に自立した子どもが毒親からの接触を断ち切り、距離を置きたい場合、もっとも有効なのは、その旨を記した内容証明郵便を弁護士から送ることです。
経験上、9割5分の毒親に対して効果があります。子どもを支配しようと干渉してくる親に対しては、弁護士が間に入っていることを知らせたうえで、これ以上の干渉を拒絶している意志を毅然と示すことが必要です。
相手方である親が逆上することを恐れる相談者は多いのですが、実際にそのようなケースはほとんどありません。
ただ、相手方である親のなかには我が子が自分と異なる考えや意思を持っているとは夢にも思わず、内容証明郵便を自分に対する『反抗』ととらえ、そのような『反抗』をしてきたのは、弁護士が自分の子を洗脳したからだ、等と私自身を敵視してくる人もいます。
弁護士を敵視するまではいかなくても、子どもが内容証明郵便を送ってきたのは、『パートナーに洗脳されたからだ!』『パートナーの親が洗脳したからだ!』といった反応をされることはままあります。
こうした反応の背景には、自分の子どもを一人の個人として尊重する気持ちが乏しく、親である自分の従属物であるという考えがあるように思います。
自分の従属物なのだから、子は親に従うべき、親と同じ考え方を持つべき、という考えです。だからこそ、親である自分たちに従わなくなると、自分の子どもが自分の意思でそのような行動をとっているとは理解できず、これは誰かに洗脳されたに違いないという歪んだ認識をもつのです」
法的な手段を通じてでも子どもと繋がっていたい
「『自分たちに従わないのであれば、これまでの養育費や学費を返せ!』と主張してくるケースもありました。このような主張も、基本的には、子どもを支配したいという願望の表れだと感じます」
続けて話を聞くと、内容証明郵便を送付した後にも驚くべき方法で接触を試みる者が少数ながら存在するという。