1ページ目から読む
2/4ページ目

  映画として新しい物語を動かすうえで、福田監督と両澤さんが特に気にしていたのは「キャラクターのテンションの不自然な上げ下げをしないこと」だったという。

「SEED」は登場する大人たちの行動も人間らしい ©創通・サンライズ

「プロットが決まっていたとしても、そこまでキャラクターのテンションが自然に上がっていかなかったり、性格ができあがってこなければ描けないと両澤は言っていました。不自然なキャラクターは気持ちが悪い。それを彼女はすごく気にしていました。僕は『そうなのかなぁ』ぐらいに思っていましたが、やっぱり彼女ならではの感性ですね。そういう意味で、スタート地点の調整に結構時間がかかりました」

「両澤本人は『監督はあなたなんだからあなたの好きにしなさい』と言ってましたけど」

  プロットとは、いわば物語の設計図である。そこに整合性の取れたストーリーや、登場人物たちの血が通ったセリフが載って脚本になる。『SEED』と『DESTINY』では、全体の脚本に加えて「キャラクターに関することはすべて両澤」と、全幅の信頼を寄せていたと福田監督は明かす。

ADVERTISEMENT

愛されるサブキャラクターたちも両澤さんの手によるもの ©創通・サンライズ

「基本的にキャラクターに関しては、セリフ1つ1つ、全部両澤に丸投げしてました。僕はキャラクターよりはメカをどう見せるのか、どういう絵を作りたいのかをメインに考えていました。両澤本人は『監督はあなたなんだからあなたの好きにしなさい』と言ってましたけど、私が書けないのは変わらないので。それでも彼女から上がってきたものを『それは絵にできない』と言って採用しないこともあったりして、どちらが上というのでもなく2人で作っていた感じですね」

  福田監督は『SEED』以前にも監督作の『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』シリーズなどで両澤さんを脚本に起用している。それだけに、新作『FREEDOM』を作るうえでは両澤さんの不在を痛感したという。