2024年1月26日から劇場公開された『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が、観客動員207万人、興行収入34億円を突破した。
本作は2002年に放送が開始されたTVアニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの、およそ18年ぶりとなる完全新作である。監督はTVシリーズに引き続き福田己津央が務め、脚本には「両澤千晶、後藤リウ、福田己津央」と3人の名前が記載されている。先頭にクレジットされているのが、2016年に亡くなった脚本家・両澤千晶だ。福田己津央の妻であり、公私をともにしたパートナーである。
夫である福田監督は、亡き妻の残した脚本とどのように向き合い、18年の時を経て同作品をヒットに導いたのか。ご本人に話を聞いた。
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「舌の根も乾かぬうちに戦うんかい、という話になってしまうので」
『機動戦士ガンダムSEED』の映画版を作るという企画がスタートしたのは、TVシリーズ放送中のことだった。しかしTVシリーズ続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』放送中から、メイン脚本家を務めていた両澤さんの体調は悪化しはじめていた。
「『SEED』が終わった1年後、2006~07年くらいにはプロットの第一稿は僕のところに来ていました。それを元にメカやキャラクターの発注もすでにしてます。『こういうキャラクターで行きましょう』という話ぐらいまではしていました。でも本人の体調不良のことがあって、ペンディングになりました」
TVシリーズ放送終了翌年の2006年に映画化の話が発表されたが、それ以降は映画に関する情報は途絶えてしまう。ファンのあいだで映画を待望する声は根強かったが、映画制作が正式に再告知されたのは2021年になってからだった。
その“お蔵入り”の期間も、福田監督と両澤さんは『SEED』の映画版について折りに触れて話し合っていた。
「最初はなかなかうまくいかなかったですよ。プロットはできていても、『DESTINY』が終わった時点のキャラクターたちの状態から、どうすればもう一度物語を動かすことができるのかということに悩みました。そのために『SEED』と『DESTINY』の全100話の情報を整理して、キャラクターたちの整合性を取る、いわゆる交通整理をするんですけど、これが難しいんです。『DESTINY』の最後でキラやアスランが『いくら吹き飛ばされても、僕らはまた花を植えるよ…きっと』『それが俺たちの戦いだな』(『DISTENY』FINAL-PHASE「選ばれた未来」)と言っていたのに、その舌の根も乾かぬうちに戦うんかい、という話になってしまうので」