論破王として人気を集める西村博之の妻・西村ゆか氏の半生は想像を絶するものだった。父のギャンブルが原因で両親は離婚し、母親に引き取られたものの金銭トラブルに巻き込まれ……。ここでは西村ゆか氏の『転んで起きて 毒親 夫婦 お金 仕事 夢 の答え』(徳間書店)より一部抜粋。過食嘔吐に苦しんだゆか氏が伴侶・ひろゆきに出会うまでの日々を辿る。(全3回の1回目/#2#3を読む)

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過食嘔吐のはじまり

 私の両親は、私が4歳のときに離婚した。

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 母が私を引き取り、高校2年生までずっと母と2人暮らしだった。

 私が中学生くらいになると、母は家に彼氏らしき人を連れ込むようになった。そして、学校から帰宅したときに、バスローブ姿の母と、見知らぬ男の人に出くわしてしまうことが何度かあった。

 そういうとき、テレビドラマなどでは「ママ、なにしてんのよ!」と文句を言ったり、真っ赤になって「キャー!」と叫んだりするセリフが登場するのだろうか。でも、現実の私は、そんな言葉を口に出すのも面倒なほど、冷めていた。

 

 いい歳をしたおっさんおばさんのあられもない姿を見せられると、ただひたすらげんなりするのである。

 だからいつも無言で自分の部屋に行った。

 しばらくすると男の人が「ゆかちゃんごめんね」と謝りに来る。

 謝るくらいならするなよ、と心の中で毒づく。

 腹が立つ。イライラする。

 そして私はコンビニに走る……。

 初めて吐いた日もそうだったと思う。

 むしゃくしゃした気持ちの反動で、コンビニで大量にお菓子を買い込んだ。そして、それを一気に食べつくした。ものすごく気持ちが悪くなり、トイレで吐いた。

 胃から、さっき食べたアップルパイが出てきた。

 嫌な気分が一緒に出ていったような不思議な爽快感があった。

 その爽快感が私の心を捉えてしまったのである。

 その日から、なにか嫌なことがあると、食べて吐いたらすっきりすると考えるようになった。私にとって、それから12年も付き合うことになる、過食嘔吐のはじまりだった。

 同級生の中に、私の異変に気づいてくれた子がいた。

 でも、その子も過食嘔吐をしている子で、私が食べているものや、食後にトイレに行くタイミングを見て気づいたらしい。

「パスタとか麺類は吐きやすいんだよね」「衣がついているものとかってしんどくない?」「あと水! 大量に飲むでしょ」「手の甲のこの部分に、吐きだこできない?」

 友達とそんな救いのないやりとりをしながら、生きるのってめちゃめちゃしんどいことなんだなあと思うようになった。

がんばる意味

 長い間、私は、周りの人に自分が過食嘔吐をしていることを秘密にしていた。

 ほとんど家にいなかった母は、そもそもまったく気づかなかったし、母に代わって私の面倒をみてくれていた祖父母には、気づかれないよう細心の注意を払った。

 激やせしたり、倒れたりしたら、さすがに誰かが気づいてくれたかもしれない。でも、残念ながらそういうことは起きなかった。