「ちょっとこれって失礼だよな?」苦悩を抱えるなかで夫・おさると出会い…
――ただ、先輩方とのコンセンサスはあるとはいえ、そのキャラを続けていくのも大変そうです。
山川 そうですよね。それをやっていくうちにちょっとずつ大人になってきて、いろいろなことがわかってくると「あれ? ちょっとこれって失礼だよな?」って、やっぱり自分で思ってくるわけですね。そうしてるうちに10代のかわいい子がどんどん出てくるので、10代でもない自分が失礼芸みたいなものを続けるのは違うのかもしれないという悩みに変わってきました。
ちょうどその時期、23歳ぐらいのときにおさるさんと会って、おさるさんとしゃべっているうちに、もうちょっと楽に考えてもいいかもと思えるようになりました。おさるさんと知り合って結婚したのも1個のターニングポイントですけど、芸能生活の中で「キャラ」を続けることに対して少し考え方が変わったのも1個のターニングポイントだったかもしれません。
――自分を人気者に押し上げた“武器”を手放すことに不安はなかったですか。
山川 たとえば「山川さん、今日はこの先輩なんで、いつもの失礼なやつお願いします」と求められる。ありがたいしやらせてもらいますって言うんですけど、ちょっと迷いが出てくるタイミングのときだと、ものすごく悩みながら行くわけです。私がもうちょっと器用だったら違うやり方もあったのかもしれないなって今は思います。求められていることを考え過ぎずにうまくやれていたら、今のスタンスとは違うやり方とキャラで仕事が出来てたかもしれない。
昔の自分のことをあまり嫌な言い方はしたくないんですけど……自分自身を切り売りするやり方というか、自分の身を削るスタンスでやっていたものを、今はたとえば通販番組とかたくさんやらせていただくと、商品の「良さ」を伝えられる。商品の良さ、その人の良さ、その企業さんの良さを引き出す仕事のほうが、私、性格がけっこうそっち向きで、根本はすごくプラス思考の人なんで向いてるなって。
――お話ししているだけでそれは伝わってきます。
山川 先輩に失礼なことを言うのも、そのときは楽しかったし、笑っていただいてありがたかったし、プラスに変えてできていたんですけど、冷静に考えたらやっぱり人を……笑いが生まれたとしてもけなすとか、マイナスを探すというのはほんとはすごく本意じゃなかったんだと思います。すごく悩んで迷ったし少し時間がかかったけど、今ここにいることは良かったなと思うんです。
撮影=石川啓次/文藝春秋