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 そう言われて思い出してみると、

「その話、オチは?」

 とツッコまれる場合は、話の展開が面白くない時ではないでしょうか。だらだらとたいして面白くもないトークを続けているから、せめてオチくらいバシッと決めてくれという意味でツッコんでいるのでしょう。トークの内容が面白ければ、わざわざ話の腰を折ってまで「オチは?」などとは聞かないのではないでしょうか。

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トークの教室:「面白いトーク」はどのように生まれるのか』(藤井青銅/河出新書)

「面白い」は笑いだけではない

 一般的に、「面白い=笑える」と思っている方が多いでしょう。もちろんそれも大きな要素ですが、「面白い」は笑いだけではありません。

 たとえば「このミステリー面白いよ」と誰かに薦める時、多くの場合そこに笑いはありません。ハラハラ、ドキドキ、アッと驚く謎解きが「面白い」のです。

 サッカーの試合だと、芸術的なシュート、神がかりのキーパー、針の穴を通すようなパスの応酬で点を取ったり取り返したりの試合は「面白い試合」ですが、この「面白い」も、笑いではありません。

「へ~、そうなのか」と感心するのも、「なるほど!」と納得するのも、「すごい!」と驚くのも、「面白い」。「ええ話やなあ」も「せつないなぁ」も、「ワクワクする」も「感動する」も「泣ける」も…すべてが「面白い」。「面白い」にはそういう広い意味があります。

なにかを伝えるときに笑いもあるといい。でも、なくてもいい

 語源というのはどれもコジツケの感があるのですが、「目の前(面)」が「パッと明るく(白)」感じるから「面白い」、だと言われています。たしかに「そうだったのか!」とか「すごい!」は目の前がパッと明るくなる感じ。笑いもそうです。

 ですから、笑いというのは「広い意味での面白い」の中にある「狭い意味での面白い」だと思った方がいい。芸人さんは目の前の人に笑ってもらいたいから、そこにこだわるのはよくわかります。けれど普通の人ならば、あまり「面白い=笑い」に縛られると、身がすくんでトークなんかできなくなります。

 そう、トークは笑えなくてもいいんです。ここでも誤解をしないように急いで言っておきます。もちろん人に笑ってもらうのは嬉しいし、場の雰囲気もよくなる。笑えるトークはいいことです。けれど、笑わせることが目的ではなく、なにかを伝える時に笑いもあるといいね、なくてもいいけど、ということ。