健康のために摂っているものがかえって身体に悪影響をおよぼしているとしたら、まさしく元も子もない事態である。とはいえ、日々の生活の中で摂取する飲料が本当に健康にいいものかどうか、自分自身で判断できる人は一体どれくらいいるだろうか。

 ここでは、糖質制限のトップドクターとして知られる山田悟氏の著書『糖質疲労』サンマーク出版)の一部を抜粋。身近な飲料の選び方、飲み方で気をつけるべきポイントを紹介する。(全2回の2回目/1回目を読む)

©️AFLO

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子どもに「オーガニックの果汁100%オレンジジュース」で大丈夫!?

 子どもの健康によいと思って、果汁100%のジュースをお子さんに飲ませているお母様は多いのではないでしょうか?

 おやつとして飲ませているという意識をおもちであればかまわないのですが(おやつには次の食事がしっかり食べられるようにとの制限がおのずとかかるはずです)、健康によいと思って無制限に果汁100%ジュースを積極的に飲ませることには私は反対です。

 果糖は糖質の中でもとくに摂取を控えたい糖質です。オーガニックであろうと、無添加であろうと、果汁100%のオレンジジュースには果糖がたっぷり含まれています。果糖は、お子さんの身体を太らせる(体脂肪を増やす)ことにはつながりますが、必ずしも健康な肉体(内臓や筋肉)を作ることにはつながりません。(*1)

*1 Nutrients 2017; 9(2): 146

 また、オーガニックジュースには入っていませんが、多くのジュースに含まれる異性化糖(高果糖液糖や果糖ブドウ糖液糖)は果糖の塊となります。観察研究ですが、異性化糖の使用量の増加と(小児を含めた)肥満症や糖尿病の発症率の増加に関連があることが知られています。(*2)(*3)

*2 Am J Clin Nutr 2004; 79(4): 537-543
*3 Glob Public Health 2013; 8(1): 55-64

 また、動物実験にすぎませんが、果糖の摂取が多いと、不安を感じているときに取るような不安行動が増えることが知られています。(*4)

*4 Front Neurosci 2021; 15: 669410

 お子さんにジュースをはじめとしたおやつを選ぶときには、栄養成分表示をご覧いただき、商品のセールス文句ではなくて「栄養成分」で選択するという意識が大切です。